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行政が絡んだ2つの社会実験①






2019(令和元)年11月29日から12月15日まで、宮崎市では、中心市街地の回遊性向上を目指して、中心市街地を周遊するグリーンスローモビリティの実証調査を行った。




これは、2020年秋にJR宮崎駅前にオープン予定の『アミュプラザ宮崎』とおよそ600m離れた中心市街地を結ぶ遊び心のあるモビリティを走らせることで、街の活性化につなげたいとする実証調査である。

17日間で延べ5,901名が利用し、今後は関係機関で組織する検討委員会の中で検討する予定となっている。

しかし、実証調査は、「果たして宮崎市はグリーンスローモビリティを導入する気があるのか?」という光景を何度か目にした。





6か所に上記の写真のような臨時バス停を設けていたが、ただ、立て看板があるという感じで、当初は誰もいなかった。
この状況をSNSで発信したところ、いくつかの臨時バス停には、職員、OB職員が付き、街行く人々に呼びかけていたが、市民から言われないと動かない行政って、社会実験への取り組み度が低いとしか言えない。
モビリティとしては、非常に魅力的で、時速19km以下で、臨時バス停での待ち時間を考えると、歩いて行ったほうが早い。乗車定員も10人(運転手含む)と少ない。
そういったデメリットを克服するような取り組みが少なかった。
実証調査なので仕方ないのかも知れないが、乗車券を見せると臨時バス停近くのお店で割引サービスを受けられるようなことをもう少しやれば良かったと思う。
宮崎市が想定していた以上の利用者があったとのことだが、今後は導入に向けた大きな課題がある。
料金設定

乗車1回ごとに料金を徴収するのか、ワンデイパス(1日乗り放題)にするのか、当分の間は無料にするのか・・・
モビリティと言えども、車道を走る公共交通機関の1つである。料金をきちんと徴収して運行するのであれば、市民や利用者が納得できるような料金設定が必要になるだろう。
過去にも同じような実証実験が行われたことがある。
2012年1月28日、「市街地循環100円バス まちなか観光周遊バス」が試験運転を始めた。
その背景として、宮崎商工会議所が中心となって整備を進めてきた宮崎駅西口の「KITEN」が、2011年11月にグランドオープンした。
KITENとは宮崎駅前にできた複合施設で、JR九州ホテルも入っている。高速バスのターミナルもある。
そのバスターミナルが整備されたことで、新たな人の流れが生まれようとしていることを見込み、この機会をチャンスと捉え、中心市街地の回遊性の向上を図り、来街者の増加によるにぎわいの創出や商業の活性化、更には、まちなかの情報発信により、市民はもとより観光客等のまちなかファンの増加を目指すため、『まちなか観光周遊バス』の試験運行を行うこととしました、と、今回の『アミュプラザ宮崎』と同じようなことを考えていたのである。
これには行政である宮崎市は関わっていないので、試験運行と言えども、当初から料金を徴収していた。
試験運行期間は2012年1月28日(土)から3月23日(金)までの約2ヵ月間、10:00~18:00、1日12回の運行で、1回の乗車につき、100円(大人・中高生)、無料(小学生以下)であった。一日フリー乗車券300円、前売り券1,000円も。
しかし、これが試験運行から本運転に移行することはなかった。
理由は簡単。
宮崎商工会議所が見込んだほど、KITENを中心にした新たな人の流れは生まれなかった。
また、まちなか周遊バスと商店街との連携もうまくできていなかった。先ほども述べたように、周遊バスを利用したことによる乗客への割引サービスが少なく、周遊バスを降りて、お店で食事やお買い物を楽しみ、人の流れを作るということまでには行かなかった。
で、今度は、『アミュプラザ宮崎』を見込んで・・・。
2008年にも、宮崎市主導で社会実験が行われた。

普段から交通量の多い橘通りを公園化するという、無謀にも近い社会実験であった。
当時の記録がある。

当然、この社会実験も実現することはなかった。
これまで、ことごとく社会実験、実証調査がお蔵入りとなり実現されてこなかったが、今回のグリーンスローモビリティはどうだろうか?
すべての社会実験、実証調査の根底にあるのは、
中心市街地の活性化

である。
人口減少社会において、何が何でも中心市街地を活性化させなければならないのだろうか?
魅力のある街であれば、自然と人は集まってくるものだが、それを意図して人集めしても、リバウンドしてしまうだけである。
『その2』では、「奇跡の商店街」「シャッター通りを復活させた」と話題になった宮崎県日南市が、最近行った民間企業との社会実験について取り上げることにする。
(2017年2月撮影 油津商店街・日南市)





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