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【口蹄疫10年】「口蹄疫」「豚小屋・鳥小屋発言」と何ら変わらない国の対応




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2010年4月20日に宮崎県で口蹄疫の発生が確認されて10年。

当時、私が市民メディアのPJニュースに提供した記事をご紹介していきます。

書かれて内容は当時のままで、加筆・修正はしておりません。

なお、公開記事は順不同です。

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57日付け記事「『口蹄疫』生活感と緊張感が漂う川南町=宮崎」で、川南町の現状を取り上げたが、本来、戦後すぐに国が進めた開墾事業で発展してきた町である。しかし、過去に国は、誠心誠意どころか地元の方々の努力を踏みにじるようなことをしてきた。当時の政権政党ではないということは理由にはならない。

 

日豊本線を宮崎方面から延岡方面へと向かうと、都農(つの)町の東都農駅から日向市の美々津(みみつ)駅との間に、日豊本線と並行して走る高架が目に入る。その長さは、7kmにも及ぶ。1996(平成8)年に廃線となったリニアモーターカー宮崎実験線である。現在は、太陽光のメガソーラーの基地として注目を浴びている。

 

62(昭和37)年、当時の日本国有鉄道(国鉄)によって、リニアモーター推進浮上式鉄道の研究が始まった。72(昭和47)年、ML100と呼ばれる実験車両を使い、時速60kmで有人による浮上走行に成功した。77(昭和52)年にはマグレブ式リニアモーターカーの実験線を、宮崎県内の日豊本線美々津~都農間の線路に並行する7kmの区間に設置した。

 

当時小学生だった私は、未来の乗り物であるリニアモーターカーが浮上走行に成功したニュースを観て、とても興奮した。家族で実験線を見学にも出かけた。当時の最先端技術の実験が、この宮崎で行なわれていることに対して、とてもうれしく誇りを感じていた。

 

当時の地元では、実験終了後も、この実験線を営業路線へ転用するのではないかと言われていた。宮崎は交通網が十分に整備されておらず、いわゆる「陸の孤島」であった。そのため、このリニアモーターカーの期待は大きかったのである。

 

しかし、88(昭和63)年、運輸省(当時)は新実験線の整備の検討を行なうため、当時の石原慎太郎運輸大臣が宮崎実験線を視察した。この実験線を見た石原大臣は、「豚小屋と鳥小屋を結ぶ線」と発言したのである。

 

当然、地元、都農町や川南町で畜産業を営む農家から、石原大臣に対する反発の声が上がった。「本当のことを言って何が悪い」と石原大臣は話したが、国の政策で進められた開墾事業で、日本でも有数の畜産基地にまで押し上げた先人たちの努力を無駄にする発言であったことは否めない。

 

そして、今回の口蹄疫における国の対応。政権交代によって自民党から民主党に代わっても、国としてやらなければならないことには変わりはない。

 

しかし、赤松広隆農水大臣は、口蹄疫発生後、一度も川南町には足を運んでいない。鳩山由紀夫首相に至っては、首相の口から口蹄疫によって被害を受けた畜産・酪農農家の方々への言葉を聞いたこともない。談話を発表していたとしても、宮崎には確実には届いていない。国の開墾事業としてご苦労された先人たちのことを思えば、川南町に対して正式な首相談話、大臣談話があっても良い。

 

今からでも遅くはない。報道規制が解除されたNHKを使って、宮崎県、いや、全国に向けて話をしてほしい。そうでもしなければ、「そんなことは言っていない」と、昨日の東国原英夫宮崎県知事との会談の内容を、国、いや、赤松大臣の都合でなかったことにされそうである。

 

試されているのは、政治家としての資質ではなく、人としての倫理観、相手へのおもいやりである。赤松大臣には期待できそうもないが、それでも日本の農政のトップである。しっかりとやってほしい。【了】

 

 


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