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14000人の傍観者(フォロワー) ~日向市の裁判ではインターネットにおける情報発信の在り方が問われている(前編)~1




1インターネットのこれまで、そして、現在・・・

 インターネットは情報化社会における最大のツールであり、インターネット抜きの生活など考えられないほどに普及してきた。情報端末もこれまでのデスクトップ型パソコン、ノート型パソコンだけではなく、携帯電話、スマートフォン、タブレットと、多種多様になってきた。その結果、情報が手軽に入手できるようになった。今後はウェアラブル端末によって医療・介護分野にまでインターネットが入り込み、私たちの生活の根幹を支えるほどの存在となっていくことだろう。


☆ネットのこれまで
 人と人のコミュニケーションの在り方も、インターネットによって随分と変化してきた。

 1980年代、黎明期のインターネットの中心は「電子会議室」と呼ばれる文字だけの掲示板であったが、その掲示板に画像を掲載できるようになり、インターネットにおける表現力が増した。

 1990年代、個人の情報発信もこれまで電子メールが中心であったが、2ちゃんねるという巨大掲示板の登場、そして、個人でもホームページが開設できる時代がやってきた。プロバイダ等は個人に領域を与えてホームページづくりを後押しした。

 2000年代に入り、アメリカ発の「ブログ」が日本で火がつき、その手軽さからこれまでのホームページからブログに乗り換えて情報発信をする人々が増えた。

 そして現在、ツイッター、フェイスブック、LINE、YouTube等に代表される「ソーシャルネットワークサービス(SNS)」が登場した。

 これまでのホームページ、ブログにSNSを連動させることで、個人が抱えるネットワークはますます拡大するとともに、その発言力も増すことになっていった。

 『インターネット白書2012』(財団法人インターネット協会監修、インプレスR&D インターネットメディア総合研究所編)によると、日本におけるソーシャルメディア人口は5060万人、国民に2人に1人がSNSを利用している計算になる。また、スマートフォンユーザーは3割、ユーザー層は女性にも拡大しているが、スマートフォンユーザーはこれからも増えていくだろう。



☆サイバー犯罪
 このような状況のなか、インターネットにおける犯罪である「サイバー犯罪」が後を絶たない。出会い系サイト、迷惑メール、架空請求詐欺、不正アクセス、著作権侵害、ネットオークション詐欺、名誉毀損、プライバシーの侵害、風説の流布(信用毀損)、ウイルス感染、個人情報の流出等々。

 また、インターネットを利用した副業で稼げることをうたった悪質な商法が摘発されるなど、多種多様にわたるサイバー犯罪が発生している。

 このようなサイバー犯罪にはこれまでの民法や刑法で対応することは難しく、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法}」「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(電子消費者契約法)」「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」等のように、新しくつくられた法律によって対応している。

 新しい法律はやたらと名称が長いが、従来の法律でも改正を重ねてサイバー犯罪に対応しているものもある。代表的なのが「著作権法」である。

 日本は法治国家であり、私たち国民は国会で成立したすべての法律を知っておかなければならないが、そうもいかない。スマートフォン向けの法律アプリをインストールしておけば良いかも知れないが。

 自分や家族、会社などで何かトラブルが起きたときだけ、法律と向き合うということがほとんどであろう。

 しかし、インターネットでは、いつ自分が加害者になるのか、または、いつ自分が被害者になるのか、分からない。知らないうちに、サイバー犯罪に巻き込まれる可能性さえあるのだ。

 インターネットにおけるトラブルを回避したり、または解決するために、弁護士は存在するのだが、まずは、自分の日頃のインターネットとの付き合い方を振り返るのも良いかもしれない。


☆コミュ障とツイッター
コミュニケーション障害は実際にある病気で、原因として主に挙げられるのは聴覚器官や発声器官の不十分などといった身体障害と、精神障害・発達障害などといった心の部門に属する問題である。心因性かつ先天性のものは、多くの場合自閉症スペクトラムに含まれる。

 インターネット上で、まともにコミュニケーションがとれない人たちのこともコミュニケーション障害、略して、「コミュ障」と呼ばれている。

 病気由来のものではなく、相手がインターネット上で自分や他人を無視し自分勝手な発言を繰り返している状況からもコミュ障と呼ばれているきらいがある。

 そういったコミュ障云々の問題以前に、インターネットにおける私たちの日本語がおかしくなってきているのではないかと私は考える。



 ツイッターが良い例である。



 140文字と制限されたなかで自分のことを表現するのは、かなり難しい。私も140文字で表現しきれず、ツイートの最後に「つづく」と挿入し、新しいツイートでその続きを書く始末である。
 
 ま、ツイートとは「つぶやき」なので、基本は何でもつぶやけば良いのである。個人の自由なつぶやきなのである。

しかし今やツイッターはビジネスの場でも利用されるようになり、ますます140文字の制限が重くのしかかる。

よく目にする変なツイートは、主語のないツイート。

つぶやいている本人が「主語」なのだろうが、それでも分からないツイートを見かける。もちろん、目的語、指示語、修飾語等がバラバラなツイートも。

あくまでも「つぶやき」なので、そこまで求める私のほうがおかしいのかもしれないし、それだけで「コミュ障」だと決めつけることはできない。

スルーすれば良いだけのことである。

しかし、ツイッターで発した言葉が何千何万のフォロワーに一瞬にして拡散してしまう状況を考えると、日頃から日本語との接し方について改めて考えなければならないだろう。



2010年に宮崎県で口蹄疫が発生した。

29万7808頭の牛や豚が殺処分された。

私は農家ではないが、なにか役に立てることはないかと、日々考えていた。

ある夜、いつものようにツイッターを眺めていたら、あるツイートが目に入った。



「口蹄疫の発生で農家の皆さんが、タオルが足りなくて困っています。」



口蹄疫における殺処分やその他の作業でタオルがないのだろうと判断した私は、このツイートを元に、タオルやバスタオルを集める呼びかけのツイートを送信した。

ツイートしてから1時間後、東京、千葉、北海道から反応があった。

結果的には全国から8万8千枚以上のタオルやバスタオルが集まった。

300人を超えるボランティアもツイート等を通じて集まった。

大手マスコミもこぞって報道した。

改めてツイッターの影響力を思い知った。


ただ、拡散内容を間違えれば「大炎上」もする。ツイッターは言葉に敏感に反応する。そのことを肝に銘じて利用しなければ、とんでもないことになる、と当時、感じた。


現状は何も変わっていないだろう。

あなたのつぶやきで社会が変わるであろうし、大炎上を起こすであろうことは。


(続く)

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