今回の通行止め現場と西側取付道路、北側取付道路と特別養護老人ホーム伊勢の郷の位置関係は、下記の地図の通りである。
☆8月2日(日):通行止め2日め
さて、通行止め2日めの8月2日も現場へ足を運んだ。
だが、前日とはちょっと様子が違っていた。
コンテナの壁に張り出されていた書面が6枚に変わっていたのだ。
前日張り出されていた『合意書(案)』が外されて、『和解調書』『和解勧告』は貼られていたが、「宮崎地方裁判所の和解勧告をご覧ください!!」と書かれた書面と『裁判記録』が新しく貼られていた。
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【裁判記録】
1手続番号 平成27年(ワ)第13号 筆界特定申請手続
宮崎地方登記部門筆界特定室
申請者 社会福祉法人博陽会、金丸喜輝
対象土地 日向市日知屋米ノ山682番地同所682番地地先
※判決 平成27年(ワ)第13号に係る申請は取り下げられたので不動産登記規則
第245条4項規定により広告する。平成28年5月31日
平成28年5月31日 宮崎地方法務局 筆界特定登記官 森田雅彦
2事件番号 平成26年(ワ)第41号 権利不存在確認請求事件
宮崎地方裁判所延岡支部 原告 社会福祉法人博陽会、金丸喜輝
被告 江藤紀美子、松本弘志
※判決 和解勧告
平成30年3月12日 宮崎地方裁判所延岡支部
3事件番号 平成26年(ワ)第51号 所有権移転登記手続請求事件
宮崎地方裁判所延岡支部 原告 社会福祉法人博陽会、金丸喜輝
被告 椿原圭二
※判決 一審令和元年6月18日 原告の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却
する。
4事件番号 平成27年(ワ)第152号 土地所有権確認等請求事件
宮崎地方裁判所延岡支部 原告 社会福祉法人博陽会、金丸喜輝
被告 椿原圭二、株式会社MERKY
※判決 一審平成30年1月24日 原告の請求をいずれも棄却する。
5事件番号 平成30年(ネ)第23号 土地所有権確認等請求控訴事件
福岡高等裁判所宮崎支部(原審平成27年(ワ)第152号)
原告 社会福祉法人博陽会、金丸喜輝
※判決 平成31年3月6日 本件控訴をいずれも棄却する。
6事件番号 令和元年(ネ)第145号 所有権移転登記手続請求控訴事件
福岡高等裁判所宮崎支部(原審平成26年(ワ)第51号)
原告 社会福祉法人博陽会、金丸喜輝
※判決 令和2年2月26日 本件控訴を棄却する。
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これまでの裁判記録を掲示しても、ここを通る人にとっては何の関係もないことである。ただ貼っているだけで、一連のことを解説するような書面は掲示されていない。
また、松本氏は、「宮崎地方裁判所の和解勧告をご覧ください!!」と張り紙をしているが、この和解勧告の書面は、逆に松本氏にとって不利ではないのか?
前回の記事でも書いたが、この和解勧告は、裁判所が「このような内容で和解してはどうでしょうか?」と提示するもので、その後、双方の弁護士で内容を協議することで、和解の内容を確定させることになっている。
再度、この和解勧告に書かれている和解項目について確認したい。
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【和解勧告】
1 被告らは、被告らは代理人及び原告ら代理人を通じるほかは、以下に定める行為を行
わない。
(1) 原告博陽会の理事及び職員に対して、電話をかけ又は面会を要求すること。
(2) 原告金丸に対して、理事を辞めるように要求すること。
2 被告らは、伊勢の郷及びひむかの郷施設内に入る際は、一般の訪問者と同様の所定の
方法に則る。
3 原告ら及び被告らは、原告博陽会の問題に関して話し合う際は、原告ら代理人及び被
告ら代理人を通じて行うことを確認する。
4 被告らは、宮崎地方裁判所延岡支部平成27年(ワ)第121号所有権移転登記手続
請求事件の判決が確定するまでの間、法律上の手続きによらずに、伊勢の郷及びひむか
の郷施設の通路を妨げることをしない(ただし、日向市大字日知屋深溝615番を除く)。
5 原告ら及び被告らは、被告らが、日向市大字日知屋深溝615番について、現在、通
行妨害を行っていないことを確認し、被告らは、今後も妨害行為を行う意図を有するも
のではないことを約束する。
6 原告らは、その余の請求を放棄する。
7 訴訟費用、調停費用及び和解費用は、各自の負担とする。
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ここで気になったのが、第5項である。
裁判所は、現在通行止めが行われている深溝615のことについて、
「現在、通行妨害を行っていないことを確認し、被告らは、今後も妨害行為を行う意図を有するものではないことを約束する」
と具体的に提示している。
ここがポイントなのだが、その後の和解調書では、次のように決定している。
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【和解調書】
1 原告ら及び被告らは、原告博陽会の問題に関して話し合う際は、原告ら代理人弁護士
及び被告ら代理人弁護士を通じて今後必ず行うことを確認する。
2 被告らは、伊勢の郷及びひむかの郷施設内に立ち入る際は、一般の訪問者と同様の
所定の方法に則る。
3 原告ら及び被告らは、社会的接触を持つ機会には、互いに節度を保持し、社会通念上
相当な態度をもって臨むこととする。
4 原告らはその余の請求を放棄する。
5 訴訟費用及び調停費用は各自の負担とする。
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スッキリとまとめられ、「現在、通行妨害を行っていないことを確認し、被告らは、今後も妨害行為を行う意図を有するものではないことを約束する」が外された。
松本氏はここを突いて、和解調書には書かれていないので、逆に今回のような通行止め(妨害行為)を行うことになったのだろうか?
ただ、第3項には
「社会的接触を持つ機会には、互いに節度を保持し、社会通念上相当な態度をもって臨むこととする」
とあるが、今回の通行止めは「社会通念上」、問題はないということであろうか。
さて、変わったのはコンテナに貼った書面だけではない。
通行止め初日には気付かなかった路面の白ペンキで描かれた点が気になった。
このことを松本氏に尋ねると、
「裁判所、弁護士の指導・助言で、道路の端から約1.8メートルあけて、白ペンキで印を付けた」
ということだった。
何のためかと尋ねたら、
「この1.8メートル幅をあけて、地域の人や伊勢の郷の関係者を通すようにすれば、往来妨害ではないと言われた」
とのこと。
また、
「残りの道路の部分は占有して完全に通れないようにようにする」
とも話していた。
松本氏によると、裁判所、弁護士からの指導・助言とのことだが、このことを松本氏の代理人弁護士である上野光典氏に電話で確認したところ、
「そのような指導・助言はしてない。私は松本さんにはやめなさいと言っている」
とのことだった。
弁護士による指導・助言ではなかった。ましてや裁判所がこのようなことを指導・助言するはずはない。
松本氏の独断ということだろうか?
市道ガードレールの掲示物についても上野弁護士へ尋ねようとしたら、電話を切られてしまった。こちらも弁護士がそのような指導・助言をすることはないだろう。
8月2日は日曜日ということもあり、交通量は少なかった。
通行止めの現場(西側取付道路)を離れ、市道ガードレールへ向かった。
すると、松本氏が路面に白ペンキで印を付けていた。
話を聞くと、この辺りに自分の土地があるので、その土地の境界が分かるように印を付けたとのこと。
ここは市道ではないのかと尋ねられたら、「大丈夫だ」と笑って答えた。大丈夫なのだろうか?
同じような路面の印が、北側取付道路の松本氏の登り旗と看板の近くにもあった。この近辺にも松本氏の土地があり、今後、日向市と市道について協議するということのようである。
☆8月4日(火):通行止め4日め
午前10時すぎ、通行止めの現場には松本氏はいなかった。
電話も通じなかった。
また、コンテナの壁の掲示物が変わっていた。
これまでバリケード代わりにしていた横にできる脚立がなくなり、代わりに「伊勢の郷関係者は立入禁止」の看板が置かれていた。
道路の端から約1.8メートルの白い印はまだあるものの、そこを通行できるようにしているようではなく、あくまで伊勢の郷関係者は立入禁止のようである。
松本氏とお会いできなかったので、特別養護老人ホーム伊勢の郷へ向かう迂回路へ向かった。
市道のガードレールには、相変わらずピンク色の登り旗と道路の両サイドに掲示物があった。
が、なんとガードレールが終わる付近に大型の掲示板が設置されていた。
その掲示板には、「宮崎地方裁判所の和解勧告をご覧ください」の張り紙のほか、通行止めのコンテナの壁に貼ってあった『合意書(案)』『和解勧告』『裁判記録』が掲示されていた。
幅が狭い道路でしかもカーブ。近くに車を止めてこの掲示板を見るような人もいないだろう。見ても何のことなのか、理解できないだろう。
この市道ガードレール近辺の状況は、市道を管理している日向市建設課へ連絡しておいた。
日に日に変わっていく現場であるが、単に土地を巡る問題だけではないようである。
特別養護老人ホーム伊勢の郷の運営における過去の問題が大きく関わっているようである。
いわば、『闇』である。
その闇を照らすことで、いったい、何が起きていたのかを明らかにしていく。
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