□これまでの流れ
この日、「チキン南蛮」の売れ行きが良く、食材である鶏肉の在庫が切れた。
そのため、店員は、近くの業務スーパーに出かけて、岡山県産の吉備高原鶏もも肉を1袋購入した。
その業務スーパーの袋に入った鶏肉が、情報提供者が座っていたカウンター席に無造作に置かれていた。
不審に思った情報提供者が指摘したことで、問題が発覚。
情報提供者の要請で調査を行った株式会社エー・ピーカンパニー(以下、AP社)は、以下のような回答をした。
・チキン南蛮が予測以上の出数があり在庫切れになると判断。
・料理長により、店員に業務スーパーで鶏肉を購入するように指示。
・業務スーパーでの購入は初めて。
・チキン南蛮の鶏肉は、外国産のブロイラーを使用し現在はタイ産を使用。
・メニュー表記は、みやざき地頭鶏と違うページに掲載
・店舗にて客から質問があれば、外国産である旨を回答。
その後、AP社は消費者庁に出向き、メニューにおける表示について指導を受けたとのこと。
これまで通り、みやざき地頭鶏とは違うメニューのページにチキン南蛮を掲載し、「『若鶏』で提供しています」という一文を追加したとのことである。
□塚田農場八重洲北口店へ
2017年11月29日、東京の「宮崎県日南市
塚田農場八重洲北口店」へ足を運んだ。
当然、「チキン南蛮」を注文した。
ジューシーで美味しかったが、店員に尋ねた。
女性店員は私の質問に臆することなく、
当店の食材は、宮崎県日南市の塚田農場で作られています。
チキン南蛮もか、念押しをすると、
もちろん、チキン南蛮もです!
と満面の笑みで答えた。
この自信たっぷりの発言は、どこからくるのだろうか?
□AP社からの回答
AP社の全店舗において、チキン南蛮だけは「宮崎県産」ではなく、「タイ産」を使っていることは、AP社のサポートセンター、リスク管理部の上田憲行部長が明らかにしている。
4月に事案が発生し、消費者庁に足を運んだにも関わらず、なぜ社員教育が徹底できていないのだろうか?
なぜ、本当のことが言えないのか?
12月14日、AP社からの回答は以下の通りである。全文をそのまま掲載する。
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お世話になります。
この度は、東京にお越しの際に塚田農場をご利用して頂いたにも関わらず、ご期待に添う対応が出来ず、誠に申し訳ございませんでした。
一昨日(記者注:12月12日)、営業部長と統括料理長との会議を実施し、チキン南蛮に関して、社内SNSで社員全員に、再度通達致しました。
また、昨日、店舗でのヒアリングを実施・調査致しましたので、「なぜ、本当のことを店員が伝えることができないか」に関しまして、回答させて頂きます。
4月の事案の後、5月に私が通達を作成し、統括料理長に説明し、営業部からの通達として、社内SNSを使用し、お客様から問い合わせがあった際は、タイ産であることをご説明する事。を、徹底する事と流しました。
また、チキン野郎様の投稿をご覧になられた、あるお一人の塚田農場ヘビーユーザーの方が、店舗をご利用の際に、必ずチキン南蛮は、どこ産か聞かれているご様子で。
その方は、店舗で起こるいろいろな対応不備を、私宛にご指摘お叱り下さる方です。チキン南蛮に関しても、違う回答をすると、即座に私にお叱りのご連絡が来る方で、その方から全くお叱りがないため、徹底出来ていると判断しておりました。
しかしながら、今回、大谷様からのご指摘で、現場に出向き調査して分かったことは、社内SNS・店舗内従業員LINEを通じて、毎日、通達・連絡・共有事項が、流れてくる中で、5月から半年以上経過し、薄れてしまった忘れてしまった。
あるいは、5月以降に採用した従業員に伝わっていなかった、が、なぜ、に関しての原因と考えます。
昨日(記者注:12月13日)は、塚田農場八重洲北口において、営業前の朝礼に参加後、店長にヒアリングを実施致しました。
朝礼では、社内SNSの文面を読み上げ、朝礼に参加している従業員には、周知しておりました。
参加している従業員には伝わるが、いない従業員にどう伝えるのか問い質すと、従業員全員が参加しているLINEですでに共有したとの回答でした。
また、私共、管理職の認識に関しましては、営業部長・統括料理長と話し合いをし、意識が薄れないようにするためには、定期的な通達が必要で、かつ我々も忘れずに実施するために、3ケ月に1回、調理講習会を本社で、全店長・料理長を集め実施していますので、その機会に、新規商品だけでなく、既存の商品の注意点も必ず盛り込んで、その時に使用しているチキン南蛮の肉がどこ産なのか説明するように致します。
以上、長々となりましたが、ご報告させて頂きます。
この度は、ご指摘頂き、誠にありがとうごいざました。
株式会社エー・ピーカンパニー
サポートセンター リスク管理部 部長 上田 憲行
〒105-0012 港区芝大門2-10-12 KDX芝大門ビル9F
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□客からのクレームがないと気づかない?
上記の回答文を読まれて気づいた方もいらっしゃるかと思うが、
その方は、店舗で起こるいろいろな対応不備を、私宛にご指摘お叱り下さる方です。チキン南蛮に関しても、違う回答をすると、即座に私にお叱りのご連絡が来る方で、その方から全くお叱りがないため、徹底出来ていると判断しておりました。
お客様からのクレームがなければ「徹底出来ていると判断」していたとする管理職側の判断は、妥当なのだろうか?
しかも、第3者である市民メディアの取材に対しての回答である。
会社としてのリスクマネージメント、コンプライアンスが問われるのではないだろうか。
□そもそもなぜチキン南蛮だけなのか?
AP社が展開している「宮崎県日南市 塚田農場」「宮崎県日南市じとっこ組合」は、その名の通り、宮崎県日南市の食材を提供している店である。
AP社の店舗の売れ筋メニューの1つに、今回問題となっている「チキン南蛮」がある。
チキン南蛮は、言わずと知れた宮崎のソウルフードである。その発祥説は2つあるが、どちらも宮崎県延岡市である。
「塚田農場=宮崎の食材を味わえる店」
というイメージ化がすでに出来上がり、塚田農場、じとっこ組合の店舗に足を運ぶ客のほとんどは、チキン南蛮の鶏肉の産地を質問するようなことはしないだろう。
しかし、そもそも、どうしてチキン南蛮の鶏肉だけが宮崎県産ではなく、タイ産なのだろうか?
これまでに取材でのAP社の文書を読むと、
『チキン南蛮の肉に関しましては、地頭鶏は固く仕上がる為、外国産のブロイラーの方が柔らかく美味しく仕上がると判断して使用しております』
と書かれていることを、店員であればきちんと説明できるはずである。
いや、宮崎のブロイラーでも柔らかく美味しく仕上がるのだが。
□AP社からの回答なし
なぜそこまでしてAP社にこだわるのか。
看板に偽りがある可能性があるからである。
現在、さらにAP社に対して4点ほど質問をしている。
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①消費者庁へは何のために出かけたのか?
以前、4月下旬に起きた問題を受けて、消費者庁に出かけたということですが、その消費者庁で指導を受けたことは、その後何も活かされず、今回のように社員へも徹底されていなかったということでしょうか?
②宮崎県産の食材は全体の何%なのか?
一番人気の「チキン南蛮」の食材がタイ産であるということで、「宮崎のチキン南蛮」ではなく、
実際は、「宮崎風タイ産チキン南蛮」であったわけですね。
ということは、チキン南蛮に関しては、宮崎県産の食材ではないわけで、宮崎県の経済の活性化には寄与していないことになります。
しかし、宮崎県民は、県出身者の何割かは、今でも塚田農場様が宮崎県の経済に寄与していると思っている人もいます。
それも違うということなのでしょうか?
では、エー・ピーカンパニーで、全店舗仕入れの中、宮崎県の食材は何%を占めているのでしょうか?
宮崎県産食材とそれ以外の食材の割合を数字でお示しください。
③鶏肉は審査が甘いのか?
飲食業界において、ぶブランド食材を取り扱う厳しさはご存知かと思います。
牛肉に関しては、有名レストランが産地を偽ったことがニュースになりますが、鶏肉に関しては
そのようなニュースはあまり流れません。
鶏肉業界は審査が甘いので、タイ産であっても「宮崎のチキン南蛮」として扱うことができるのでしょうか?
塚田農場様は審査の甘い鶏肉にターゲットを絞って事業を行っているということでしょうか?
④JR東京駅の店舗
最近、JR東京駅の京葉ストリートに、塚田農場様の店舗がオープンしたということですが、そこでも「チキン南蛮」が販売されています。
このチキン南蛮の食材も「タイ産」ということでしょうか?
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12月17日、この記事を書いている時点、まだ回答はない。
□客が満足すれば・・・
口に入ってしまえばみな同じ。美味しければそれで良い、という考え方もある。
今ちょっとしたブームになっている「チキンサラダ」。
コンビニで多くの種類が販売されているが、ほとんどが外国産の鶏肉である。
パッケージには、「宮崎県産のサラダチキン」とは書かれていないので、どこの鶏肉であろうがチキンサラダでは、特に問題にはならない。
しかし、宮崎県産食材をうたい、「宮崎県日南市じとっこ組合」の店舗にいたっては、宮崎県知事および日南市長の写真とコメントが堂々と掲載されている。
訪れた客からすれば、
「行政のお墨付きの店」
と思われることもあるだろう。
客が満足すればそれで良いのであれば、「宮崎県産」の看板を外せば良い。何でもありのフツーの居酒屋になれば、何の問題もない。
同業他社の影響で塚田農場は厳しい立場にある、株価が低迷している等のニュースが流れているが、その影響が食材やメニューだけではなく、本当のことが言えない社員教育にも影響を与えているのであれば、大きな問題である。
まだまだ忘年会が続くという方も多いだろう。
もし、AP社の店舗で忘年会があれば、店員に
「チキン南蛮の鶏肉はどこ産ですか」
と質問されると良いだろう。
さらに取材を続けていく。
【お願い】
今回の件に限らず、「食の安心安全」において問題がありそうな店舗、食材に関する情報をお持ちの方、ぜひ、情報提供をお願いいたします。
メールアドレス:cmm@cam.bbiq.jp
また、 日頃から市民メディアみやざきCMMの活動にご理解をいただきありがとうございます。
誠に心苦しいお願いではございますが、今後も継続的な情報発信ができますように、皆さまからのカンパをよろしくお願いいたします。
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・1口1000円
・宮崎太陽銀行(銀行コード0591)
大塚支店(支店コード017)
普通口座 1124478
名義人 オオタニ ノリフミ
申し訳ございません。振込手数料はご負担ください。
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どうぞ、よろしくお願いいたします。
市民メディアみやざきCMM 大谷憲史
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