今年も24時間テレビ~愛は地球を救う~の福祉車両の募集が始まった。2017年5月19日が締め切りである。福祉車両はこれまでに10,648台が贈呈された。宮崎市内で訪問介護や介護タクシー等の事業を行っている事業所Aも,2002年度に福祉車両の贈呈を受けた。が、現在、その福祉車両で問題が起きている。
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☆24時間テレビ福祉車両
24時間テレビチャリティー委員会のホームページによると、社会福祉法人(社協以外)、社会福祉協議会、NPO法人、地方公共団体、医療法人、(一般・公益)社団法人、財団法人、学校法人、任意団体(非法人)、ボランティア団体などが対象で、株式会社、有限会社など、営利を目的とする企業・団体は申し込みができない。
2013(平成25)年からは『車いす移送車両』『訪問入浴車』に加え、就労支援や訪問介護など団体のニーズに応えることができるオーダーメイドの車両『福祉サポート車』の贈呈も行っている。幅広い福祉のニーズに対応しているのだろう。
宮崎市内で訪問介護事業、福祉タクシー事業等を行う事業所Aも、2002(平成14)年度に24時間テレビの福祉車両の贈呈を受けている。事業所Aのホームページでは、2001(平成13)年5月と書かれているが、事務局に確認したところ2002年のようである。
2002年当時、贈呈を受けたのは事業所Aではなく、事業所Aの前身である福祉ボランティア団体であった。
事業所Aのホームページによると、1998(平成10)年10月に福祉ボランティア団体を設立。2002(平成14)年に24時間テレビ福祉車両の贈呈を受けて、2003(平成15)年4月にNPO法人を設立した。2006(平成18)年4月には有限会社、2015(平成27)年には株式会社として事業を展開している。
今でも、NPO法人は存在しているが、理事長はこの事業所Aの職員であり、いわば、グループ企業といったところだろう。また、福祉タクシー事業では、このNPO法人の名前を使い、「介護タクシー◯◯◯◯(屋号)」として活動している。
事務局の話では、福祉車両の寄贈申し込みの時点では、株式会社、有限会社など、営利を目的とする企業・団体はダメだが、福祉車両の寄贈を受けた後に株式会社等になった場合でも、実際に介護・福祉事業で福祉車両を利用しているので、あまり強く言えないようだ。
しかし、この事業所Aには他に問題があるのだ。
☆事務局の廃車要請を無視
事務局は、24時間テレビチャリティー委員会(以下、委員会)の規定に従い、3年ほど前から事業所Aに対して、寄贈した福祉車両の廃車を要請している。
しかし、事業所Aからは何の連絡もないらしい。
この24時間テレビチャリティー委員会は、1978年の24時間テレビの放送開始以来、『福祉』『環境』『災害復興』等、公益性の高い支援を全国的に展開している。当初は任意団体だったが、2013(平成25)年12月、「より活動の透明性を高め、迅速かつ広範囲な支援」を行うため、『公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会』となった。
委員会では、年に1回、福祉車両の『稼働状況調査』を行っている。2015(平成27)年度には3,416台の稼働調査を行った。
また、委員会では上記に書いたように『環境』事業も展開しているため、福祉車両の廃車も厳しく管理している。福祉車両が役目を終えて、廃車にする際には必ず申請し、報告することが義務付けられている。廃車・解体後は、再利用できる部品は別の車両へ、アルミやスチールは素材としてリサイクルされる。
2014(平成26)年に廃車された福祉車両は、「総走行距離230,212km、稼働年数15年5か月(社会福祉法人雪国ボラントピア、新潟県)」「総走行距離328,231km、稼働年数13年8か月(NPO法人ホップ障害者地域生活支援センター、北海道)」と、委員会のホームページで写真付きで公開されている。
このような厳しい管理ができるのは、1台1台の福祉車両がナンバリングされていることと、前述したように年に1回の稼働状況調査を行っているためである。2002年に贈呈を受けた事業所Aの福祉車両も、その車体にナンバーが刻まれている。
他の事業所は廃車要請をきちんと守っているのにも関わらず、この事業所Aはこの3年間、事務局からの廃車要請を無視している。
事業所Aは今でもこの福祉車両を利用している。リフト付きバスで、2脚の車イスが乗車できるため、使い勝手が良いのである。
車庫に置かれていたが、やはり、15年使用してきた感が否めない。
動画もご覧いただきたい。
車載カメラのため細部が分からないが、肉眼で見ると錆びついている箇所が目につき、ビジュアル的にも24時間テレビのイメージを崩しかねかい車体の古さである。
この福祉車両は、今でもNPO法人が『福祉有償運送』車両として管理している。
2015(平成27)年度のNPO法人の事業報告書をみると、実車距離(有償運送)は9,745km、総走行距離は21,721kmとなっている。2014年度の総走行距離は26,772km、2013年度は22,901km。
おおまかではあるが、仮に年間2万km走行したとすると、この15年間では30万kmあまり走行したことになる。
走行距離だけではなく、15年も走っているといろいろと故障もするだろう。この福祉車両の修理を行っている自動車整備工場では、個人情報のこともあり多くのことは話さなかったが、「かなり走り込んでいる感じです」と話していた。
福祉車両の安全面を考えると、事務局からの廃車要請は当然である。
なぜ、事業所Aは未だに廃車要請を無視しているのだろうか?
NPO法人の事業報告書を見ると、このNPO法人が所有・管理している車両は、この24時間テレビ福祉車両しかないようだ。この福祉車両を廃車処分すると、NPO法人として活動することができなくなる。また、リフト付きということで使い勝手が良いので、修理しつつ使い続けているのだろう。
ただ、この福祉車両の運行の実態は、このNPO法人ではなく事業所Aである。元職員によると、「NPO法人は『隠れみの』のようなものである」ということだ。
ただ廃車要請は、24時間テレビチャリティー委員会と事業所Aの契約の問題であり、当事者同士で解決すべきことだが、さらに、この事業所Aには問題があるのだ。
☆福祉車両で白タク行為?
この24時間テレビ福祉車両で、白タク行為をしていた『疑惑』があるのだ。
身体障害者や高齢者等の移送サービスは、『介護タクシー』と『福祉有償運送』の2つがある。介護タクシーは2種免許が必要だが、福祉有償運送は白ナンバーで、講習を受ければ普通免許でもできる。ただし、福祉有償運送の車両に乗車できるのは登録者のみで、登録者以外が乗車する場合には許可が必要である。
この福祉車両は、白ナンバーなので『福祉有償運送』しかできない。NPO法人の書類にもそのことが明記されている。
その福祉車両の運行状況は、他の車両と同様に『送迎表』で管理しているが、『通常の送迎表』と『表に出ない(表に出せない裏帳簿?的な)送迎表』が存在するのである。
市民メディアみやざきでは、関係者からこの『送迎表』のいくつかを独占入手した。
下記は、2012(平成24)年5月15日の『裏の送迎表』である。
『◯に現』(以下、『現』)は「現金」ということで、介護タクシー扱いを意味している。福祉有償運送の利用者は福祉・介護制度と組み合わせるため、送迎等の利用代金は月末払いで現金扱いではないので、その対比で介護タクシーの利用者を『現』で表している。
『表の送迎表』では介護タクシーを利用したかのように見せているが、実際は『裏の送迎表』でこの福祉車両が使われていたのである。
この5月15日は、3件とも介護タクシーとして動いていることが確認できる。ただし、福祉車両には営業メーターがないため、走行距離で計算している。
次に、2013(平成25)年6月5日の『裏の送迎表』を見る。
この日も3件、『介護タクシー』として対応している。
しかも、9:50から10:30までの利用では、「一割引、領収証適応」と書かれている。
『福祉有償運送』ではなく、介護タクシーとして対応している時点でアウトである。
この事業所Aの利用者の何人かは、「◯◯◯号(24時間福祉車両)でこのようなこと(白タク行為)をやっている」ということを、元職員に話していたそうだ。
24時間テレビ福祉車両で白タク行為である。
日本全国からの『善意』を踏みにじる行為である。
市民メディアみやざきが入手した表と裏の『送迎表』はほんの一部だが、このような運行状況が常態化していたのかも知れない。
☆行政はどう考えているのか
『福祉有償運送』は宮崎市障害福祉課、『介護タクシー』は国土交通省九州運輸局宮崎運輸支局が担当している。
障害福祉課の話によると、福祉有償運送しかできない車両が『介護タクシー』として運行された場合、その指導監督は宮崎市ではなく宮崎運輸支局にあるそうだ。
ただ、これまでの協議会ではこのような事例の報告はないが、今後、このような事例が協議会で報告されることはあるかも知れない、とも話していた。
介護タクシーを管轄している宮崎運輸支局では、「今回の情報を受けて対応していく」と話していた。
☆利用者のことを考えているのか?
・24時間テレビチャリティー委員会、事務局の廃車要請を無視している問題
・修理が絶えない15年モノの福祉車両における安全面の問題
・白タク行為を繰り返している事業所としてのモラルの問題
本当に利用者のことを考えているのだろうか?
しかも、この24時間テレビ福祉車両は、日本全国からの『募金』という『善意』で贈呈されたものである。
そのため、24時間テレビチャリティー委員会の車両管理は厳しいのだが、この3年間、事務局からの廃車要請を無視しているのである。
元職員によると、この事業所Aの職員に対して福祉車両の廃車を助言すると、「また、新しい福祉車両を24時間テレビからもらえばいい」と話していたとのことである。
この程度の認識で、介護・福祉事業を展開しているのである。日本全国からの『善意』をどう思っているのだろうか?
この件について事業所Aに取材を行ったが、ある幹部は、
「今回の件に関してお答えする義務はございません」
と、取材拒否。
「真面目に介護・福祉事業を行っている者が馬鹿を見るようなことだけはしてほしくない」と、関係者は話す。
介護・福祉は、私たちの大切な問題の中の1つである。明日は我が身である。お世話になる事業所は、しっかりと選ばなければならないだろう。
しかし、この事業所Aは、この24時間テレビ福祉車両だけではなく、他にも問題を起こしているのである。
これは、第2弾としてお伝えしたい。
【お願い】
市民メディアみやざきCMMでは、今回のような介護・福祉に関する情報を集めています。些細なことでも構いません。どうぞよろしくお願いいたします。
・メールアドレス infobar@cap.bbiq.jp
・電話番号 080-5603-9244(担当:大谷)
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