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すでに英国メディアのMetroやMirrorなどが伝え、日本でも記事が配信されて物議をかもしている米国有名YouTuberのローガン・ポール氏(22歳)が投稿した動画。
山梨県の青木ヶ原樹海に立ち入って撮影した動画にご遺体が写り込み、こともあろうにその動画をYouTubeにアップロードしてしまった。
動画で彼は「人生で初めて、遺体というものを見た。自殺はジョークでも何でもない。うつ病や精神疾患は真剣な問題でジョークにしてはいけない。僕たちは今日、呪われていると噂された樹海にやってきたけど、まさか現実にこのような光景を見ることになるとは思ってもいなかった。」と話しつつも、
「かつてない、これまでで最もリアルなもの。これは間違いなくYouTubeの歴史的瞬間となるでしょう」
とも語っていた。
2017年12月30日に投稿したこの動画に対して、「YouTuberとしても度を越した行為」「人としての良識を疑う」「死者への冒涜だ!」といった厳しい批判が相次ぎ、動画は削除された。
2018年1月2日に公開された『So,Sorry』と題する動画で、ローガン氏は「配慮に欠けた浅はかな行動であったと反省し、影響力を持つYouTuberとしての責任の重さを痛感しました。二度とこのような過ちは犯しません」などと謝罪した。
しかし、謝罪だけで済まされるような問題なのだろうか。
若いからということで許されても良い問題なのだろうか。
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2017年、日本では、個人の価値を仮想株式にして売買できるプラットフォーム「VALU(バリュー)」で、有名YouTuberヒカル氏が、「高値売り抜け」等の問題を受け、所属事務所ネクストステージを解散し、ヒカル氏自身も無期限の謹慎処分(当時)で、YouTubeの活動から一時的に退いた。その後、11月18日に復帰している。
ヒカル氏の場合は、今回のローガン氏の事例とは違うモノだが、両者とも多くのチャンネル登録者を抱え、それなりの社会的な影響力を与えることを、本人たちも承知の上で行った行為に変わりはない。「まだ子どもなんで、無邪気にやりました」は、通用しない。
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さて、話を戻す。
YouTubeのコミュニティガイドラインは、「ヌードや性的なコンテンツ」「有害で危険なコンテンツ」「不快なコンテンツ」「暴力的で生々しいコンテンツ」「嫌がらせやネットいじめ」「スパム、誤解を招くメタデータ、詐欺」「脅迫」「著作権」「プライバシー」「なりすまし」「児童を危険にさらす行為」「その他のポリシー」のカテゴリで詳しく説明されている。
今回のローガン氏の行為は、ご遺体を映すことに関する具体的な表示はないが、「不快なコンテンツ」「「暴力的で生々しいコンテンツ」「プライバシー」に抵触するのではないかと考えられる。
当該動画はすでに削除されているということで、未成年者への影響はこれ以上広がることはないが、動画がコピーされてYouTube以外の動画共有サイトに拡散するおそれはある。
YouTubeでは昨年2017年、英タイムズ紙が、白人至上主義団体KKKやホロコーストを否定する牧師のSteven Anderson等の過激主義者のYouTube動画に、大手企業の広告が配信されていると報じたことが始まりで、世界6位の広告代理店ハバス(本社フランス)がYouTubeから広告を撤退することを発表した。
このことをきっかけで、日本でもYouTubeにおける収益体制が大きく変化した。その影響は今でも続いている。
さらに、2017年11月4日(米国時間)、The New York
Timesが、子ども向けに設計されたアプリ「YouTube Kids」で、不適切な動画をフィルタで排除しなかったということを報じた。
報道によると、YouTube Kidsのある動画では、ミニーマウスが恐怖に満ちた表情で、血だまりの中にいるミッキーマウスを見つめているというもの。
また、別の動画では、クレイメーション版(注:被写体を主に粘土を材料として作成されているアニメーション)のスパイダーマンが「アナと雪の女王」の王女エルサに放尿していたという。
これらの動画は、こどもたちにも人気の高いDisneyやMarvelのキャラクターを模倣したものだ。
2017年11月22日(米国時間)、YouTubeは、子供をターゲットとする不快な動画や攻撃的な動画を取り締まるための十分な対策を講じていないとの批判を受け、家族向けのコンテンツに対する取り組みを「強化」する5つの計画を発表した。
1コミュニティーガイドラインのより厳格な適用、技術を利用して一層素早く実行すること
2家族をターゲットとする不適切な動画からの広告の削除
3未成年者が登場する動画に対する不適切なコメントのブロック
4家族向けコンテンツを作成するクリエイターに対するガイダンスの提供
5専門家との連携とそれに基づく学習
運動のような無害な活動を行う子どもが登場する動画に対し、視聴者による搾取目的または性的なコメントがあふれているという問題もあり、YouTubeは新ガイドラインで抑制を目指す。
YouTubeが策定する「新ガイドライン」では、有名YouTuberによる社会的影響力を背景とした動画コンテンツについても言及して欲しいものである。
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日本、米国関係なく、YouTubeというプラットフォームには実に様々な年齢層が集う。いわゆる1つの大きなコミュニティである。
コミュニティである以上、そこにはルールが存在する。
YouTubeコミュニティガイドライン、利用規約、ポリシーだけではなく、その国の法律もあるし、法律では縛れない、いわゆる「マナー」「モラル」も存在する。
他人を批判するのは簡単である。
それらのルールに違反しているからである。
違反しなければ、何も問題は起きない。ただそれだけである。
至極当然のことであるが、これができない人間が非常に多すぎる。
時の政権の権力者は批判するが、自分の行為には目をつぶる。これでは社会やコミュニティは良くならない。
第2第3のローガン氏が現れてもおかしくはない。
No MORAL, No YouTuber
モラルがないヤツは、YouTuberではない。
ただのアナーキストである。
富士の青木ヶ原樹海で自殺された方は、自分の最後のチャンスを自殺にかけて亡くなられた。その意思は尊重されなければならない。
しかし、YouTuberには次のチャンスがある。この差は大きい。その重みをローガン氏は、どう考えているのだろうか?
ただ、これはローガン氏だけの問題ではない。
私が参加させてもらっているYouTubeクリエイターコミュニティにも、コミュニティの意味が理解できずに参加しているYouTubeクリエイターが目立つようになってきた。すでにコミュニティガイドライン違反で削除されたチャンネルもある。
コミュニティに参加することは、社会で生きていくことと同じである。
これは学校では教えてもらえない。
もちろん、会社でも教えてもらえない。
自分で学んでいくしかない。
今年2018年、このような話題でYouTubeが盛り上がってほしくはないが、目の前で起きている問題に目を背けずに前へ進むことも大切である。
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