LINE問題で全国に話題となった宮崎県日南市で、今年2月下旬、嘱託職員の着服を日南市に内部告発。なんと嘱託職員15人すべてが2年間にわたり学校で発生した資源ごみを勝手に売りさばき換金。自分たちの3時のお茶代にしていた。日南市は4月に処分を行う予定。
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☆資源ゴミを売却
学校には植木、ゴミの管理、施設の営繕等を行う、いわゆる学校用務員がいる。
これまでは学校用務員は学校長の裁量で勤務評定、人事管理を行っていたが、2015(平成27)年から管轄が日南市教育委員会(以後、市教委)に移り、市教委が技術嘱託職員(環境整備員)として15人を雇用しはじめた。
その15人を3つのグループに分けて、5人1グループで複数の学校の営繕等を受け持っている。
市教委学校教育課によると、今年2月下旬、1人の環境整備員の告発で着服が発覚。
学校で出た『資源ゴミ』を日南市のゴミ出しルールに従うことなく、「どうせ資源ゴミとして処分するなら換金したほうが良いのでは・・・」(課長談)との判断で、集まった資源ゴミを業者へ売却。
そのお金を学校側へ、子どもたちの教育活動の費用として渡すことなく、グループ15人の3時の茶葉代として使用していた。
「金儲けをしようとか、ギャンブルに使おうとかの意図はなかった」(課長談)。
その額、2016(平成28)年は33,220円、2015(平成27)年は業者が領収書等をすでに処分したため金額は分からないようだが、市教委学校教育課は2016年と同等額を換金したのではないかと判断している。
今回の着服事案については、市教委はすでに調査を完了。教育長等を交えての処分を検討し、4月12日に開催する新年度第1回校長会で報告する予定。
嘱託職員15人に対しては、資源ごみを売却した2か年分約66,440円の返還求め、刑事責任は問わないとしている。
なお、今回問題起こした嘱託職員のうち、今後も継続して雇用する職員もいるので、再雇用にあたっては、再発防止のための研修を充実していく(課長談)とのことである。
また、宮崎県教育委員会学校政策課は、「資源ゴミに関しては各市町村の条例に従って、今回の着服に関しては日南市教育委員会の判断に任せる」としている。
☆隠蔽工作ではないか?
3月25日、市民メディアみやざきに匿名メールが届いた。
情報提供者によると、2月中旬に発覚した着服問題がどうして1か月経っても公表されないのか、市教委は隠蔽工作をしているのではないか、ということで取材を行った。
市教委の説明では、時間がかかったのは、嘱託職員15人全員に対して個別に事情聴取をしたり、着服した金額について業者へ問い合わせたりしていた。
また、年度末にかかってくるということで、新しい体制で環境整備員の仕事を進めるため、新年度に入ってから報告する、ということを市教委側は情報提供者にも伝えていたとのことである。
しかし、疑問が残るのは、市教委の調査はすべて終了し、着服金額も確定している。であれば、通常は年度内に処理をするだろう。
新しい体制で仕事を進めたいのであれば、なおさらである。市教委側と市民側の考え方にズレがあるのだろうか。
隠蔽工作とまでは言えないにせよ、公表までの時間稼ぎと思われても仕方がないだろう。
☆刑事責任は問わない、問えない?
「どうせ資源ゴミとして処分するなら」という考えで、日南市のゴミ出しルールを破り、その売却益を子どもたちの教育活動に提供することもなく、自分たちの休憩用の茶葉代にしたことは、浅はかな考えである。
金額の多少に関わらず、着服は着服、犯罪行為である。
しかし、今回、市教委は、刑事責任は問わないとしている。
環境整備員は、ゴミ関係だけではなく、草刈り機、施設の営繕等に伴う技術・技能を有していて、日南市の現状では人手が揃わないということで、問題発覚後も継続して雇用する嘱託職員もいるとのことである。
市教委学校教育課では、「エコやリサイクルに関する意識がなかったために、今回のような問題が起きた」ので、新年度から雇用、再雇用する環境整備員に対してはこれらの研修を行ない、再発防止に努めるということである。
しかし、着服に関しては、エコやリサイクルの研修を充実させたからといってなくなるものではない。
環境整備員の立場で考えると、3時の休憩の茶葉代はみんなで少しずつお金を出し合えば、なんとかなるものである。
日南市内の小中学校という義務教育が行われている場で起きた問題である。
情報提供者のメールに、次のようなことが書かれている。
「公立小中学校の備品は血税で賄われており、資源ゴミであろうとそれは市民の財産であり、それを売却して得た利益は、市の収入として計上するのが筋道だと心得ます。」
まさにその通りである。
「どうせ資源ゴミとして処分するなら・・・」という幼稚な考えで換金し、その金を自分たちで勝手に使っておきながらも、環境整備員の人材不足で、「全額返金してもらえば刑事責任は問わない」とする市教委の考え方は甘いと言わざるをえない。
そして、このことを納税者である日南市民に広く伝えることなく、新年度に開催する校長会での報告だけで済ませようとしている。
やはり、これは隠蔽工作ではないか?
また、情報提供者によると、茶葉代だけではなく、飲み会にも充当していたと言うことだが、市教委は否定している。
☆日南市役所の体質の問題か?
2月10日に私どもが第1報を伝えた崎田恭平市長のいわゆる『LINE問題』では、なぜ、市役所内部で利用していたLINEグループの内容が外部に漏れて広まってしまったのか。市役所からの『情報漏洩』にも関わらず、市議会での総合戦略課の対応は原因を追及することなく、「今後は情報管理に関する研修の充実に努めてまいります」で終わっている。
LINEでは市役所職員の内部犯行にも関わらず、うやむやにしてしまった。そして、やたらと時間をかけて引き延ばそうとしている今回の件。
何か日南市役所には、得体の知れない『体質』の問題が巣食っているのではないだろうか。
日南市、日南市教育委員会には厳しい態度で不正行為をなくす努力と日南市民への納得いく情報公開を求めたい。
この問題は、何か新しい情報が入り次第、お伝えしていきたい。
【情報提供を】
今回の問題は、もしかすると氷山の一角かも知れません。もし何か情報をお持ちでしたら、ぜひともご連絡をください。どうぞよろしくお願いいたします。
・〒880-0951 宮崎市大塚町乱橋4545-2
・電話 080-5603-9244
・メール cmm@cam.bbiq.jp
担当 大谷憲史(おおたに のりふみ)
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