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イエメン:1600人以上の移民が密売組織から解放――虐待・拷問の被害者も





国境なき医師団(MSF)日本


 イエメン北部のハッジャ州ハラドで、2013年4月7日から30日にかけて、密売組織により農園などに拘束されていた1620人の移民が、イエメン当局によって解放された。

 多くはエチオピアやソマリアからの移民で、一部は数ヵ月に及び拘束されていた。国境なき医師団(MSF)は、子ども62人、女性142人を含むこの移民たちを援助し、重病患者171人を、ハラド近郊のアル・マズラク村で運営する病院に搬送した。


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<移民を虐待する密売組織>


 アル・マズラクの病院に搬送された移民の大半は人身売買、強制労働、奴隷的待遇の被害者だ。拘束中に拷問や、肉体的・性的虐待、また言葉の暴力を受けていた様子が認められた。爪をはがされたり、舌を一部切り取られたりしているほか、ひどく殴打されている人もいる。肺炎、合併症を伴うマラリア、デング熱など、致命的な病気にかかった移民もおり、治療が行われている。


 MSFは解放された移民に対し、ハラド郊外の施設で心理ケアも提供している。心理療法士、アンヘルス・マイラルによると、「多くが肉体的にも精神的にも疲弊し、拘束中の悲惨な境遇と、そこで体験した虐待から、深刻な心的外傷を負っています」と、心理ケアを受けた移民の大多数が、暴力を受けたと話している。


 移民の医療・人道ニーズは広範で、当局に解放されるまで1週間にわたり、何も食べていない人もいた。MSFは一定量の補助食を配給するとともに、ハラドとアムランの一時滞在施設の衛生環境改善にも着手している。


<「アフリカの角」から仕事を求めて>


 ハラドからは、800人のエチオピア人が首都サヌアの移民センターに移送され、本国送還を待っている。また、ソマリア人550人もラヘジ州ハラズ難民キャンプに移送された。MSFは、これらの施設に、移民たちを十分に援助するだけの受け入れ能力、体制が整っていないことを深く憂慮している。


 イエメンは、いわゆる「アフリカの角」地域からアラビア海沿岸諸国に入る主要なルート上に位置する。エチオピア人移民の多くは極貧・失業状態を脱し、ハラドからのサウジアラビア入りを目指す人たちだ。しかし、暴力や精神的虐待で、金銭を奪い取ろうとする密売組織の手に落ちることも少なくない。


 イエメンにおけるMSFの活動責任者、タレク・ダヘルは

「こうした恒常的な問題に加え、今は緊急事態に直面しています。MSFはハラドを含むイエメン各地で途方にくれている数千人の移民、特にわずかな援助しか届いていない移民たちの今後を非常に心配しています。出入国の多大な苦労と貧しさで疲弊している上、多くがハラドの路上で物乞いになってしまうのです。何とかしのごうとしていますが、一定水準の住居、衛生施設、食糧の確保もままならず生活しています」

と語っている。


 MSFは、ハラドの1620人の解放・受け入れ・保護に対するイエメン政府の尽力を認めるとともに、この支援の継続を強く願っている。

 また、国際社会に対しても、援助にあたる各機関の後援を通じて、移民たちの人間的尊厳の回復を後押しするよう求めている。

 さらに、ハラドに到着した移民の滞在環境を向上させ、解放直後や、一時滞在施設での本国送還待機中の医療環境を整えるため、担当局および他のNGOと連携し、活動を拡充している。

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 MSFは2009年から、イエメン北部のハッジャ州で活動を続けてきた。アル・マズラク周辺で運営する病院では、地元住民および他地域からの避難者に、基礎医療、専門医療、外科、救急医療を提供。

 2012年以降は、ハラドで移民を対象に心理ケアも行っている。アデン、アッダリ、アビヤン、アムラン各州でも医療活動を展開中。

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