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3月12日(土)に宮崎市民プラザ(宮崎市)で、民主党宮崎県連のキャリア教育に関する「政策イベント」が行われた。
第1部の基調講演に続く第2部では、同じくキャリア教育に関するパネルディスカッションが行われ、パネラーとして山尾志桜里衆議院議員、読谷山洋司氏(元内閣参事官)、谷口史子(延岡市立旭中学校校長)、コーディーネーターとして本部仁俊延岡市議会議員が参加した。
フェイスブック等でチラシ画像を使ったPR活動が繰り返し行われていた。
この政策イベントで大いに気になったのが、パネラー陣である。
元内閣参事官で民間会社経営の読谷山洋司氏は、今夏の参院選で、無所属(民主党推薦)で出馬を予定している。
宮崎でも民主党、社民党、日本共産党の野党3党で「野党共闘」が進み、3月17日、日本共産党が立候補予定者を取り下げ、事実上、民主党が推薦する無所属の読谷山洋司氏に1本化された。
このような中で、民主党宮崎県連は月1回のペースで「政策イベント」を県内一円で行っている。
このイベントが行われた3月12日の時点では野党統一候補ではなかったものの、すでに読谷山氏は立候補を表明し、政治活動も展開している。
この一連のイベントは、民主党宮崎県連の政策だけではなく、読谷山氏の認知度を上げるためのPR活動であることも否めないだろう。
しかし、他のパネラーにも問題が生じている。
それは、現職校長の参加である。
公立学校の教員には公務員という立場上、「政治活動の制限」が法律に明記されている(地方公務員法第36条等)。
現職校長の参加は、これらの法律に抵触するのではないのか?
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今回、民主党宮崎県連が現職校長をパネラーとして招いた経緯を確認するため、民主党宮崎県連に取材を行った。
今回のイベントのコーディネーターである本部仁俊延岡市議会議員が答えた。
「宮崎県におけるキャリア教育の第1人者であり、どうしても学校の現状をお聞きしたいということで、延岡市教育委員会の許可も取っている」とのことであった。
出席の許可を出した延岡市教育委員会にも尋ねた。
担当:校長先生には、「学校現場におけるキャリア教育に関することだけをお話ください」と伝えてあります。「それ以外のことを話すと問題になります」ということもお伝えしています。
私:「それ以外のこと」とは、政治的な話のことですよね。
担当:そうです。
私:ではなぜ、問題になりそうなことが予想されながらも、延岡市教委は、教育長は許可を出したのですか?
担当:校長先生には「念押し」をしました。
私:「念押し」で担保はとれるのですか。条件付きでの許可ですから、何らかの対策をとるべきではないのでしょうか?
担当:校長先生のことを信じていますし、学校現場以外の話はしないかと思います。
私:人間、講演会とか、ましてや、延岡市教委からも条件が付けられていても、場の雰囲気に飲まれて、つい、学校現場以外のことも話してしまうおそれもあります。その時の対策はとっていますか?
担当:といいますと?
私:延岡市教委が条件付きで出席を認めたわけですから、このイベントに市教委の職員を派遣して発言を聞くなり録音なりすることです。
担当:市教委の職員を派遣することは考えていません。
私:それでは、もし、参加者から校長の発言内容に対する問い合わせがあっても対応できませんね。ましてや、現場において、学校現場の話と政治的な話を客観的に判断することすらできませんね。
担当:・・・
延岡市教委及び教育長がすでに許可を出しているので、あとは現場での校長の判断に任せるという話に終始した。
そこで、文部科学省の担当課へ電話をかけた。
これまで延岡市教委に話した内容を担当者へ伝えたところ、
「延岡市教委、宮崎県教委に連絡し、事実関係を把握します」とのこと。
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3月22日、あれから10日あまり。
再度、文科省に確認の電話を入れた。
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文科省としては、この事案について指導できる立場ではないが、宮崎県教育委員会に事実関係を問い合わせて把握している。
結果としては、延岡市教育員会及び教育長が根拠をしっかりともって許可しているのであるので、特に問題はないかと考える。
ただ、「キャリア教育」に関する話を聞く場として、今回のように民主党だけではなく、他の政党のイベントでも話をするような「機会均等」の点からいえば、配慮すべきなのではないかと思う。
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ということであった。
また、同日、校長にもお電話でお話をお伺いした。
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私も特定政党の冠が付くこのようなイベントに参加してもよいのか判断がつかず、延岡市教育委員会と相談を重ねた。当日、会場で話す内容については「学校現場のことだけに限定」して原稿も考えた。
かなり考え込んで作りこんで話した。当然、慎重にならざるを得ないと考えていた。
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イベント後、学校には苦情やクレームの電話はかかってこないとのことであった。
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今回は諸条件をクリアしての政策イベントへの出席のようだが、文科省が配慮すべき点として挙げたキャリア教育に関して話をする機会の均等については考えなければならないだろう。
しかし、イベントに現職校長が出席できた経緯などはチラシやポスター等には書かれてはいない。
チラシやポスターに書かれた情報だけで判断すれば、「大丈夫なのか?」となってしまう。
そのような懸念があるようなイベントであれば、普通であれば出席を見合わせる。
あえて条件を付けて出席させたい以上は、その責任として市教委から職員を会場に派遣するなどの対応が必要ではないだろうか。
今夏は、参院選が控えている。
今後、各政党で似たような政策イベントが開催されるかも知れない。今回の件を材料にして、公務員の政策イベントへの出席に関するルールを明確にしてほしいものである。
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