2013年1月17日 プレスリリース コンゴ民主共和国の東部で起きた紛争を避けた人びとが滞在する避難民キャンプで、性的暴力の被害が増加している。国境なき医師団(MSF)は、北キブ州ゴマ周辺のキャンプにおける劣悪な治安状況を告発すると共に、一般市民の保護責任を負う陣営に対し非難を表明する。 ________________________________________ ◇日常化する性的暴行◇ ゴマから西に数キロのムグンガ第3避難民キャンプで活動するMSFのチームは、2012年12月3日から2013年1月5日にかけて、性的暴力の被害を受けた患者95人のケアを行った。同12月末には、性的暴力に直接起因する心的外傷を負った患者が増加したため、性的暴力関連患者の診療件数は1日平均で6件に上昇した。 避難民キャンプに滞在する人びとは、ぜい弱な立場に置かれ、生活環境は不安定な上に、十分な安全の確保が行われていない。ゴマにおけるMSFの活動責任者ティエリー・ ゴフォは「キャンプや周辺の村々は危険にさらされています。当局の責任者や各武装勢力の指導者は、民間人を保護していると主張しています。しかしそう主張するのであれば、負うべき責任を負い、最も立場の弱い人びとが暴力や報復に決してさらされないよう対処すべきです」と訴える。 避難民キャンプ周辺の兵士や武装勢力の増加は、性的暴行が横行する状況の慢性化につながっている。「紛争に関わる全ての当事者が、この問題にもっと注意を向けるべきです。レイプを含む性的暴力は日常化していますが、加害者が罰を受けることや刑に服することはまれです。また、報復を恐れて、被害者が告訴することはめったにありません」とゴフォは語る。 ◇レイプか殺害か◇ 性的暴行を受けた、ある避難民の女性は「畑に食べ物を探しに行ったら、武器を持った男が2人やって来て、死にたくなかったら、セックスをさせろと言われました」と話す。こうした話は被害者に共通しており、状況説明も一致している。女性は、キャンプや近隣の村々の周辺へ木切れや食べ物を探しに行く際に性的暴行を受けている。 また、キャンプ内で襲われることも多い。木切れやビニールシートで建てられた住居は、性的被害から身を守るのに十分に安全ではないからだ。MSFの心理療法士、マリー・ジャコブは「暴力が遍在しています。これは力ずくの暴力であり、強者や武器を持つ者の論理なのです」と話している。 2012年11月にコンゴ民主共和国で発生した反政府勢力と政府軍の戦闘を受け、北キブ州のゴマ周辺の避難民キャンプには10万人以上が避難した。MSFは同月末にムグンガ第3避難民キャンプで活動を開始し、救急患者の搬送、一次医療や性的暴力被害者の治療を提供している。また、ラク・ベール、ムグンガ第1、ブレンガの各避難民キャンプでも、栄養失調のスクリーニングおよび治療、はしかの予防接種や、浴場およびトイレの設置を行っている。
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