--------------------------------------------------------------
2010年4月20日に宮崎県で口蹄疫の発生が確認されて10年。
当時、私が市民メディアのPJニュースに提供した記事をご紹介していきます。
書かれて内容は当時のままで、加筆・修正はしておりません。
--------------------------------------------------------------
5月16日午前、作業中に1本の電話がかかってきた。今回の川南町へバスタオルを送る活動に関して、出典を明示せずろくに取材をしてないブログがあるとのこと。最初はそう気に留めていなかったが、そのブログに引用されている記事が私のものではないかということであった。このようなことは今までにもあった。電話では「現場が混乱するのではないでしょうか」とのことで、とても気になっていた。私のことで、川南町の現場が混乱している。やはり、このような活動はしなければ良かったのだろうか。
ブログを書いたのは、共産党のどこかの市議らしい。電話された方は、ブログに「タオルが不足しているという声は対策本部には届いていない」と書かれてあり、実際にタオルを送る活動が行われているにも関わらず、このよう情報が流されていることを心配されていた。
すぐにもそのブログを確認したかったが、あいにく作業中で、この日、44人の皆さんからお預かりした1064枚のタオルの内、半分を車に詰め込んで、川南町の口蹄疫対策本部へ向かった。
私のことで問題があったとすれば、担当者が飛んでくるはずであるが、本部は整然としていた。前日のタオルを確認したが、残念ながら使われているような気配がなかった。送られた皆さんに申し訳ない。
そこで、同乗されたボランティアさんと一緒に、衣装ケース内のタオルを作業されるみなさんが取りやすいように入れ直し、さらに、衣装ケースを置く位置を変えた。壁には単に、「ご自由にお使いください」という紙が貼られていたが、出所の分からないタオルを使うことに抵抗があるかもしれないと思い、前日に作った紙を貼った。
そこには、簡単にこれらのタオルが集まった経緯を書いた。しかし、これだけではインパクトが弱いと考え、みなさんからいただいた6通のお手紙やメッセージも貼った。
すると人が集まり始めた。メッセージを読む人、タオルの様子をデジカメで撮影する自衛隊の広報の方。そして、「この張り紙、コピーはありませんか」と、農水省の口蹄疫対策チームの方が話しかけてこられた。「45都道府県からの応援部隊、農水省関係職員らもいますので、タオルを使わせていただいてもよろしいでしょうか?」と。
その後、農水省チームの責任者の方も来られ、1日の日程表を私に見せながら、「このことを夜の会議で説明します。(日程表を指差して)この時間帯にシャワーでタオルを使わせていただきたいと思います。みなさんのご好意をありがたく思います」と、お言葉をいただいた。
私も一緒にボランティアに来られた方もうれしかった。泣きたくなった。皆さんの思いが届いた。タオルだけではなく、タオルに添えられたちょっとしたお手紙やメッセージの持つ意味を、改めて考えた。 これからは皆さんからお預かりしたタオルが、どんどん使われることだろう。私たちも忙しくなる。
高鍋町の宮崎県家畜改良事業団で口蹄疫が確認され、種牛49頭が処分される事態となった。この日から、川南町から高鍋町へ向かう国道10号の一部で、道路に消毒マットを敷き、一般車両への消毒が始まった。感染拡大が広がるのか、終息へ向かうのか全く分からない状況である。
殺処分・運搬・埋却などの作業にあたるみなさんが、せめて作業を終えて浴びるシャワーで身体をきれいにして、明日の作業の臨めるようにと送られたタオル。このような後方支援・生活支援も、大切な活動の一つである。
今後も継続した活動ができ、一人でも多くの方々がこの活動に関わり、今後の宮崎、川南町のことを考えるきっかけにしてほしいと、ボランティアを募集することにした。予算はない。手弁当である。それでも活動したい方は、ぜひ参加してほしい。
現場は、このような状況である。
さて、帰宅後、私のブログ記事を無断で転載し、現場を混乱させようとしたブログ記事を書いたのは、日本共産党の群馬県のある市の議員である。ろくに取材もせずに良くこんなことが書けたものである。夜が遅かったため、とりあえず、抗議と謝罪を求めるメールを送った。
このようにして、整然と作業を続けている現場を混乱させているのは、ろくな取材もせずに一方向の見方でしか書かれていないこのようなブログ記事である。
本当に宮崎のことを心配しているのであれば、もう少し慎重に記事を書いてほしいものである。今後の成り行きを見守りたい。【了】
コメント
コメントを投稿