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2010年4月20日に宮崎県で口蹄疫の発生が確認されて10年。
当時、私が市民メディアのPJニュースに提供した記事をご紹介していきます。
書かれて内容は当時のままで、加筆・修正はしておりません。
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5月19日、「川南町へバスタオルを送ろう!プロジェクト」が始まって5日目。毎日、全国各地からダンボールや紙袋等に入れられたバスタオルが届く。中間集計をする時間がなかなか取れないが、全国各地からのみなさんのバスタオルとメッセージを今日も届けた。バスタオルを置いているロビーには壁いっぱいのメッセージが・・・
17日、これまで、自宅をバスタオルの送付先にしていたため、置き場所に困る事態が生じてきた。すでに個人レベルでの活動ではなくなってきた。雨の予報もある。ますます大変である。その日の夜、ツイッターでつぶやいた。だめもとで「空き物件募集!」と。
18日、さっそく数件の情報と直接のお申し出があった。雨が降りそうな中、川南町に向かう前に。ご提供いただける会社様へ出かけた。申し分のない広さで、中心部にも近い。雨が降ろうが何があろうが、現地本部では、バスタオルは毎日使う。これで雨の日も心配なく作業ができる。運転しながら、なんか泣けてきた。うれしかった。
帰宅すると、玄関口に液体洗剤が入った袋が2つ置かれていた。現地本部で使用する洗剤が少なくなり、発注をかけても間に合わないことから、こちらもツイッターで呼びかけた。すぐに集まるとは思わなかったが、みなさんのお気持ちがうれしかった。
19日朝、前夜に液体洗剤を届けてくださった方が、トラックでやって来られた。午前と夕方の2回に分けて、自宅の荷物を新しい作業場所へ移した。これで、本格的な作業ができる。ここを「口蹄疫バスタオルプロジェクト本部(バスプロ本部)」と名付けた。
ボランティア募集を呼びかけたところ、「仕事前の1時間程度ならできます」と、都城市から3人の女性、宮崎市内から2人の男性が、バスプロ本部に集まった。インターネットでつながったリアルな、とてもリアルなボランティア活動が始まった。そこにはルールも何もない。みんなでアイデアを出し合いながら、作業を進める。思いはみな同じ、「川南を、宮崎を助けたい!」
しかし、急遽始まった活動なので、今のところは手弁当での活動である。宮崎市から川南町までの燃料代も自腹である。思いだけでは活動は続かない。作業しながら、ボランティアへの資金的な援助について問合せをする。せめて、ボランティアへの交通費等は出したい。
毎日、午後4時前に、川南町の現地対策本部に着く。いつものようにバスタオルの確認と補充をする。雨の日は、タオルがどんどん使われていくのだが、思っていた以上に減らない。
理由はバスの時間である。
全国からの応援部隊のみなさんは、高鍋町や宮崎市内の宿泊施設から通っている。作業を終えた農場から、現地本部へ戻って消毒を受ける。タオルで汗を拭うことはあるが、バスの関係でシャワーを浴びる時間がないのである。現場にいないと分からないことである。
そして、最後の仕事は、みなさんからいただいたメッセージを壁に貼ることである。
「うしさんへ、ぶたさんへ、てんごくで みんなとなかよく してください(6さい)」
ご両親のメッセージとともに、6歳のお子さんの絵が添えられていた。そこに書かれていた言葉を見て、農水省の職員の方が涙ぐまれていた。それを見ていた私も・・・
この日、発生が確認されている農場から半径10km以内のすべての牛(約5万頭)や豚(約15万5千頭)にワクチンを接種して拡大を抑制し、接種後に全頭を殺処分する方針を固めた。
果たしてこれで口蹄疫は収まるのか。終わりのない作業に、出口が見えるのか。
明日も作業は続く。【了】
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