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ミャンマー:ラカイン州の民族対立で続く医療・人道危機


国境なき医師団(MSF)日本


MSF、窮状にある地元住民と援助スタッフの身の安全強化を要請
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 ミャンマーのラカイン州で死者を伴う民族間抗争が発生してから8ヵ月が経過した現在も、多数の住民が緊急に必要とされる医療を未だに受けられずにいる。

 国境なき医師団(MSF)は、ミャンマー政府当局や地域の有力者に、ラカイン州の全ての住民が暴力や虐待、嫌がらせなどを受けることなく生活し、人道援助団体が窮状にある人びとに援助を提供出来る環境を確保するよう要請する。

 2012月6月および10月の激しい衝突の発生以来、民族間の深刻な対立は解消されていない。数千人の人びとが住みかを失い、仮設の避難キャンプに滞在しているが、医療や清潔な水、最低限の食糧も不足している。

 公式推計によると、避難民の圧倒的多数が、ロヒンギャと呼ばれるイスラム教徒の少数民族である。



 MSFオランダのアルヤン・ヘヘンカンプ事務局長は話す。

 「田園の仮設キャンプの滞在者やその他の密集した場所にあふれた人びとが、差し迫った医療ニーズを抱えていることをMSFは確認しています。現在も続く情勢不安と、強硬な地元勢力による再三の脅迫・威嚇行為に、MSFの救命医療活動が著しく阻害されています。」




 避難した人びともMSFにキャンプ生活の困難を伝えている。ラカイン州パウットー郡の避難キャンプに滞在する男性は次のように話す。
「女性の身の安全が非常に心配です。私のキャンプにも200人以上の妊婦がいます。出産も、医療施設ではできません。キャンプの中で、医師もいない泥土の上で産むしかないのです。」



 2012年10月以降にキャンプで行われた1万件以上におよぶ診療の中では、皮膚感染症・寄生虫病・慢性咳嗽(がいそう)・下痢が、特によく見られた病気である。栄養失調率はキャンプによってまちまちだが、MSFが実施した簡易検査の結果、複数のキャンプで重度の急性栄養失調児の数が要警戒水準に達していることが判明している。清潔な水は十分な量が確保できている場所が多いものの、手に入れることができない避難民もいる。


 パウットー郡の避難キャンプに滞在中の男性は話す。「飲用水の唯一の水源は、近隣の村の家畜との共用です。とても水のきれいな池が5分の距離にあるのですが、そこまで行くのは控えています。」


 依然として緊急のニーズのある一方、MSFの医療チームは恒常的な脅迫と敵意に直面している。冊子、ビラ、フェイスブック上の投稿などで、MSFや他の団体がロヒンギャを優遇しているとの主張が、一部のラカイン人によって繰り返されている。

 MSFに立ちはだかる最大の障壁は、現地入りの公認申請などではなく、こうした威嚇行為である。しかし、担当局も医療従事者への暴力を示唆する脅迫行為は容認できないという姿勢を十分明示できていない。


 ヘヘンカンプはさらにこう述べている。

 「MSFは最も医療を必要とする人に医療を提供したいという説明を繰り返していますが、事実無根の主張に歯止めをかけるには至っていません。協力的な地元有力者や担当局にも、脅迫・威嚇行為への対策強化を要請しています。人道援助を今すぐにも必要としている人びとに届けるためです。」


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 MSFは数十年にわたり、ミャンマーをはじめ世界各国で医療を提供し、さまざまな民族出身の人びとの医療ニーズに応えてきた。

 ミャンマー国内では、合計2万6000人以上のエイズ患者に抗レトロウイルス薬(ARV)治療を提供している。2008年の「ナルギス」や2010年の「ギリ」といったサイクロンの被災直後から他団体と共に援助活動を開始し、多数の被災者を対象に医療、緊急物資の配給、水源の浄化を行っている。

 MSFはラカイン州で20年にわたり、HIV/エイズや結核治療、1次医療・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)を提供している。

 2012年6月以前には、年間で約50万件以上の診療を実施した。2005年以降、ラカイン州でMSFからマラリア治療を受けた患者は州内のすべての民族にわたり、その数は120万人を超える。

 2012年6月、ミャンマーのラカイン州で起きた民族間紛争では人命が失われ、公式に非常事態が宣言された。推計で7万5000人が避難を強いられ、その多くが住まいを焼失している。

 同年10月に新たに発生した暴動により状況がさらに悪化し、新たに推計3万6000人が自宅から仮設の避難キャンプへの避難を強いられた。キャンプでは住居・水・衛生設備・食糧・医療が不足している。また、大勢の人びとが現在も自宅にとどまっているが、保健医療体制から疎外され、医療を受けられずにいる。こうした状況は、現在も広い地域で復旧されていない。



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