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レバノン:増加するシリア人難民、人道援助は立ち遅れ目立つ――MSF調査






国境なき医師団(MSF)日本


 国境なき医師団(MSF)は、激しい国内紛争を逃れ、レバノンに避難しているシリア人難民に関する調査報告を発表した。調査では、同地で提供される人道援助は十分には程遠い状態で、難民が非常に不安定な生活を余儀なくされている実態が明らかになった。

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◇難民認定手続きが障壁に



 MSFの報告書「戦場を超えて広がる悲劇:レバノンのシリア人難民」によると、現在レバノンに避難しているシリア人難民は約22万人に上るが、約半数の難民が医療を受けられずにいるなど、多くの憂慮すべき実態が明らかになった。

 レバノンにおいて人道的状況が著しく悪化している主な理由は難民認定手続きの大幅な遅れだ。レバノンはシリア人難民の主要受入国となっている一方で、未登録の難民には公的援助を受ける権利を認めていない。

 MSFスイスのブルーノ・ヨッフム事務局長は「緊急事態においては、難民認定を援助の条件とすべきではありません。難民の多くは、レバノン入国時の認定取得に手間取り、人道援助を受けることが非常に困難になっています。援助活動の迅速な展開と拡充が必要です」と訴える。



 2012年12月に終了したMSFの調査は、シリア人難民2,100世帯を対象に実施された。回答者の75%は、厳しい冬を乗り切るには極めて不適切な環境での生活を余儀なくされていた。調査によると、難民認定の取得の有無に関わらず、調査対象となった難民の50%以上が、不適切な集団避難所、農場、車庫、未完成のビルや古い校舎など標準以下の建物を住居としていた。その多くは、ようやく雨風をしのげる程度のものだ。このような悲惨な生活環境は、難民の健康状態を悪化させている。


 一方、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の認定を取得した難民には食糧や燃料引換券が配布され医療費も賄われるが、調査対象の40%以上は認定を取得していなかった。








◇医療提供が最優先課題



 子どもを持つ男性難民は「私たちは極限状況にあります。食糧も不足し、どこへ助けを求めればよいのかわかりません。周辺のレバノン人が純粋に連帯感から分けてくれる食糧が、唯一手に入る食糧なのです。大人は1日1食でも構いませんが、子どもたちに同じことを強いるわけにはいきません」と窮状を訴える。


 聞き取り調査では、約4人に1人が援助を全く受けていないと回答し、65%が部分的な援助は受けているが家族全員のニーズを満たすには不十分だと回答した。レバノンのほぼ全土で、地域の難民受け入れ体制は限界に達している。また、早期に到着した難民は食糧や住居の支払いに充てる資金が底をつき、基礎的医療を受けることも不可能になっている。


 医療状況に関しては、この6カ月間で状況は明らかに悪化した。回答者の半数以上(52%)が慢性疾患の治療費を支払う余裕がなく、約3分の1が高すぎる治療費のために、治療中断に追い込まれた。子どもの予防接種、処方薬、産前・分娩ケアや基礎的な健康維持医療も、手が届かないことが多い。



 MSFは、難民が認定を受けているか否かに関わらず、また彼らがシリアから逃れたパレスチナ人難民であろうと、レバノン人帰還民であろうと、最も困窮している人びとへの医療提供は最優先課題としてただちに対策を講じる必要があり、レバノン入国と同時に全ての難民に援助と医療を受ける機会を与えるべきだと主張する。



 「今こそ、資金支援各国は、レバノンにいる難民のニーズの高まりに真剣に向き合わなければなりません。また、国内外の援助団体は、援助の手法と量を見直す必要があります。MSFは、政府当局ならびに援助機関に対し、難民の流入増加に備えて受け入れセンターの設置と冬期の生活環境に適した集合避難所の建設を迅速に進めるよう求めます」とヨッフムは呼びかけている。


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 MSFは、2011年11月以降、レバノンのシリア人難民を対象に人道援助を提供している。2012年には、ベッカー高原およびトリポリで23,000件以上の診療を行い、2012年11月以降は、25,580個の基礎的救援物資をベッカー高原全域のシリア人難民に配布している。2013年1月中旬からは、燃料引き換え券を配布し、300世帯が2カ月分の燃料を確保した。MSFは、現在、スタッフを50人から112人に増員し活動規模を拡大している。

 MSFは、シリア北部の反政府武装勢力支配下にある地域で3ヵ所の病院を運営し、救急、外科、および産科医療を提供している。2012年6月から2013年1月上旬までに、11,000件以上の診療を行い、1200件の外科治療を行った。また、ヨルダン、レバノン、イラクにおいてもシリア人、パレスチナ人、イラク人難民に外科治療などの医療を提供している。


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