5月10日、赤松広隆農水大臣が宮崎入りした。午前中、東国原英夫宮崎県知事と会談し、赤松大臣は「殺処分された家畜を国が全額負担する」「国などから応援に来ている獣医師を50人から100人に増やす」「九州農政局からの応援を10人から100人に増やす」ことを明らかにした。また、殺処分後の埋却地については、「国有地を含めた用地の提供について要請があれば直ちに検討する」と述べた。午後4時すぎ、最後の訪問先である九州農政局宮崎農政事務所を離れ、帰京した。
5月10日、あいにくの雨にも関わらず、宮崎県庁本館は多くの人でにぎわった。午前10時10分すぎ、登庁する東国原英夫宮崎県知事は、宮崎県小林市からやってきた団体客と握手をしながら知事室へ向かった。「がんばれ!知事」の声も聞かれた。
赤松大臣は、宮崎県庁にある宮崎県口蹄疫防疫対策本部を訪れるため、午前11時すぎに県庁入りすることになっていたが、県庁前での混乱を避けて隣の県議会棟から知事室に入ったとのことであった。
東国原知事との会談では、知事の要望に対して、「殺処分された家畜を国が全額負担する」「国などから応援に来ている獣医師を50人から100人に増やす」「九州農政局からの応援を10人から100人に増やす」ことを明言したが、ツイッター等では、「全額負担の財源はどこから出すのか」と早くも疑問の声が上がっている。
また、会談中、同席していた県選出の松下新平議員、古川禎久議員が、政府の対応の遅さを指摘するような発言を、赤松大臣が「同席は許したが発言は許可していない」と制する場面も。
この後、宮崎観光ホテル(同市)で県内の農業関係団体との意見交換、同じく宮崎市内の九州農政局宮崎農政事務所で関係市町村長等との意見交換を行った。
この様子を伝えようと、徒歩で県庁から宮崎観光ホテルに向かうあたりから、警備(宮崎県警察本部)にマークされるようになった。大手マスコミとは違い、認知度の低い市民メディアは胡散臭いものだと思われがちである。
しかし、今回は違う。宮崎県民として、今回の協議を見守りたいという気持ちが強い。あるブログのコメントには、「本当に心配しているのか?」という書き込みが見られたが、これはすでに畜産・酪農農家だけの問題ではない。
午後1時30分すぎ、宮崎観光ホテルを離れ、最後の訪問先である九州農政局宮崎農政事務所へ向かった。さっそく警備がやってきて、職務質問を受けた。市民メディアであることを説明したが、その後、私の横に警備がピタッと張り付いた。
宮崎農政事務所の4階からは、私の様子をチェックする男性の姿も見えた。私が何らかの組織の一員に見えたのだろう。警備の方が話かけてくる間に、赤松大臣を乗せた車が宮崎農政事務所に入った。撮影するタイミングを逸したが、まさか警備によるものではないだろう。
当然、市民メディアは、記者会見はシャットアウト。外から中の様子を伺った。警備の方は、「出てくるところを撮影するんでしょ、いいよ」と言い、宮崎農政事務所内に入っていた。上司と無線で相談していたのだろう。
これまで様々なところに取材に出かけたが、これほどまでにピリピリと緊張感のある取材は、初めてである。
午後3時35分すぎ、意見交換を終えた関係市町村長が、宮崎農政事務所から出てきた。が、赤松大臣がなかなか出てこない。再び、私の横に警備が付いた。午後4時すぎ、赤松大臣を乗せた車が宮崎農政事務所をあとにし、宮崎空港へ向かった。県民の一人として、その車を見送った。
今回の宮崎訪問で、赤松大臣が東国原知事に明言したことは、きちんと記録されている。知事との会談の冒頭で、「一部報道では対応が遅いと言われているが心外だ。できることはすべてやっている」と発言したこともである。
しかし、赤松大臣は、できることをやっていない。
それは、現地・川南町に足を運ぶこと。大臣の外遊中に、どれほどの牛や豚を殺処分しなければならなかったのか。畜産・酪農農家の心情をおもんばかれば、何は差し置いてでも川南町へ足を運んだはずである。
赤松大臣からは、国の全額負担における財源が示されていないが、今後の対応を注意深く見守っていきたい。【了】
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