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【口蹄疫10年】「口蹄疫」国の対応は十分なのだろうか=宮崎





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2010年4月20日に宮崎県で口蹄疫の発生が確認されて10年。
当時、私が市民メディアのPJニュースに提供した記事をご紹介していきます。
書かれて内容は当時のままで、加筆・修正はしておりません。
また、参考URLの中には、リンク切れのものもあることをご了承ください。
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5月4日。今日も口蹄疫の疑い事例が宮崎県から発表された。これで19例目である。口蹄疫はいまだに収まる気配をみせない。宮崎県内の畜産農家、酪農農家は気が休まない日々を過ごされている。宮崎県の職員は殺処分の作業に追われ、人手不足から5月1日には東国原英夫宮崎県知事は自衛隊に派遣要請を行った。私たち県民にできることは、冷静な対応と風評被害を防ぐことである。県民総力戦で口蹄疫への取り組みが行われているなか、国の対応は十分なのだろうか。

口蹄疫発生からこれまでの流れをまとめてみた。

○4月20日
宮崎県都農町の農場の飼養牛(繁殖牛9頭,育成牛3頭,仔牛4頭)について、動物衛生研究所で口蹄疫に関する遺伝子検査を行い陽性が確認。殺処分、移動制限区域(半径10km)及び搬出制限区域(半径20km)の設定。
農林水産省に赤松農林水産大臣を本部長とする口蹄疫防疫対策本部を設置。

○4月21日
 宮崎県川南町で2例目確認(酪農・肉用牛複合で65頭)
 同町で3例目確認(肉用牛118頭)

○4月22日
 川南町で4例目確認(肉用牛65頭)

○4月23日
 1例目が農研機構動物衛生研究所における抗原検出検査の結果、O型口蹄疫の患畜と確定。
 国は、家畜疾病経営維持資金の融資枠の拡大などの経営維持等のための対策決定。
 川南町で5例目確認(肉用牛75頭)
 都農町で6例目確認(水牛42頭、豚2頭)

○4月25日
 川南町で7例目確認(肉用牛725頭)
  1、2例目は殺処分及び埋却を完了。3~6例目は殺処分等を実施中。

○4月27日
 国は、更新時期を迎えている家畜共済についての共済掛金の納入猶予期間の延長などの取り扱いを決定

○4月28日
 農林水産省第一特別会議室において、食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会第11回牛豚等疾病小委員会の開催。
 川南町で8例目確認(肉用牛1,019頭)
1例目の農場から南西約70km離れた宮崎県えびの市で9例目確認(肉用牛275頭)
川南町の宮崎県畜産試験場川南支場で10例目確認(豚486頭)

 ○4月29日
 山田農林水産副大臣、宮崎県口蹄疫防疫対策本部(宮崎県庁)に出張。
川南町で11例目確認(乳用牛50頭)

○4月30日
 川南町で12例目確認(豚1,429頭)
 国は、畜産経営の維持のため、4月23日に公表したこれまでの対策を見直すとともに、追加的な対策を決定。

○5月1日
 川南町で13例目確認(豚3,882頭)

○5月2日
 宮崎県で発生した口蹄疫の1例目の患畜から得られた口蹄疫ウイルスについて、アジア地域で確認されている口蹄疫ウイルスと近縁のものであることが確認。
 川南町で14例目確認(豚299頭)
 同町で15例目確認(肉用牛424頭)

○5月3日
 川南町で16例目確認(肉用牛4頭)
 同町で17例目確認(肉用牛37頭)

○5月4日
 川南町で18例目確認(豚15,747頭)
 同町で19例目確認(豚3,010頭)



口蹄疫は、1908(明治41)年に関西、中国地方で発生した。そして、2000(平成12)年3月、92年ぶりに、宮崎市で10頭の牛が感染しているのが確認された。

4月22日、宮崎県は関係課や各地の保健所、家畜保健衛生所などの関連機関に相談窓口を設けた。「牛肉、牛乳などの食品の安全」「牛、豚といった家畜の病気に関すること」「家畜の飼養管理を含む営農や制度資金活用に関すること」などの農家や一般消費者からの問い合わせ、「中小企業の経営、金融相談」にも応じている。

4月30日、宮崎県議会は代表者会議を開き、大型連休中、緊急の事態に備えて2人の議員が県庁で待機することを申し合わせた。

5月1日、東国原英夫宮崎県知事は、口蹄疫の感染疑い例が続発していることを受けて自衛隊に災害派遣要請を行った。要請を受けた自衛隊は、陸上自衛隊都城駐屯地から約100人を川南町へ派遣することを決定した。

このようにして宮崎県や関連機関、宮崎県議会などは、この口蹄疫に立ち向かっているところである。まさしく東国原知事が提唱する「県民総力戦」なのだが、消費者である私たちにも何かできないだろうか。

「口蹄疫にかかった牛肉・豚肉を食べても人体に影響はない」と報道機関は伝えるが、なぜ、人体に影響はないのかを理解している県民は少ない。

口蹄疫のウイルスに感染するのは牛、豚などの蹄が二つに割れている動物(偶蹄目)に限られている。不思議なことに奇数の蹄を持っている馬やロバなどの奇蹄目(ウマ目)の動物には感染しない。もちろん、蹄のない人間には感染することはない。

偶蹄目の動物がこのウイルスを口または鼻から取り入れても、症状が現れるのは口の粘膜や蹄   の割れ目などの柔らかい皮膚に限られる。そして数日後には、多数の小さい水泡として現れる。時としてこの水泡は大きくなっていき、ただれてしまう。牛は痛がって水や餌をとらなくなり、肉牛は体重が増えなくなる。乳牛の場合は、牛乳の生産量が減ってしまう。そのために畜産農家の生産が急減し、経済的に多大の損失を生むこととなる。

「太陽とみどりの国・みやざき」には、豊かな自然にはぐくまれた農畜産物、山の幸、海の幸がたくさんある。私たちが食べるすべてのものは、自然から生まれた「いのちの恵み」でもある。生産者のみなさんのおかげで、私たちはおいしいものを食べることができる。「いただきます」という言葉が、自然と口から出てくる。

自然の営みの中では、口蹄疫のような病気が発生することもあるだろう。「牛肉を買うのはちょっと控えます」と、地元のテレビ局が口蹄疫を心配する市民の声を伝えていたが、生産者や行政、関連機関のみなさんが必死で動いている中、このようなちょっとしたことが風評被害につながることを報道機関は肝に銘じて欲しい。

私たちは、口蹄疫に対する正しい知識を持つとともに、行政や関連機関から出される情報をきちんと把握しておくことは当然のことだが、人の噂やデマに踊らされることなく、これまで通り、自然の恵みに感謝し、宮崎の「いのちの恵み」をおいしくいただけば良いのである。

今日の夕食は、父が作った豚肉の野菜炒めを食べた。とてもおいしかった。【了】


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