【PJニュース 2010年11月17日】
今年3月に5回に分けてお伝えした宮崎の基金訓練に関する記事は多くの関係者の目にとまり、全国各地から情報が寄せられた。それらの情報から見えてくる基金訓練の現状とは何かをお伝えしたい。
基金訓練とは、「緊急人材育成・就職支援基金による職業訓練」が正式名称で、雇用保険を受給できない人を対象とした職業訓練のことである。今年3月、その職 業訓練が適切に行われていないのではないかと思われる事例を内部告発に近い形でお伝えしたところ、受講生・講師・訓練実施校の各立場から情報が寄せられ た。そのいくつかを紹介したい。
■受講生から
○ 現在、基金訓練を受講し「訓練・生活支援給付金」を受給している。「訓練・生活 支援給付金」 は、出席日数が8割以上必要となっているが、隣のコースでは、出席日 数が8割未満でも常勤講師(訓練実施機関の社員)が出席扱いにしている為、「訓練・ 生活支援給付金」を受給している。(宮城県・男性40代)
○ とりあえずワード、エクセル、アクセスなどをさらって、ホームページ作成の技術 へと進んだが、かなり豊富な内容と高い知識や技術が必要で、 ある程度の経験者で なければ就職に有利に結び付くであろう資格試験合格が難しいという感じだった。
訓練校の講師が不足していて、講義中に電話で中断されるというのはままあった。 講義内容以外の質問をすると専門外といって、その場での解決には至らないこともあった。
講義で使用されるソフトも最新のものではなく、その理由を問えば、「お金がかか る」「旧ヴァージョンでもそんなに内容は変わっていない」というものであった。 (長野県・女性40代)
■講師から
○ 基金訓練受託目的でオープンしたパソコンスクールのオープニングスタッフだった が、教室にはパソコンはない、机いすもないという状況であった。ポリテクからの指 導を受けて書類を作成し、2週間後訓練受託認定書が届いた。カリキュラムについては、ポリテクから「最低でも320時間、募集期間は1ヶ月、 結果通知は訓練開始から3週間前」ということだったが、国から会社に支給される基 金訓練の奨励金の関係で、かなり強引なものとなった。(広島県・男性40代)
○ 数回ほど基金訓練の講師を担当したが、本来のスクールがしっかり機能しているところは、基金訓練も生徒への対応などきちんとしていた。スクールの名前は有 名でも、スクールそのものの事務局がいい加減で、従来のスクールの講師のレベルもたいしたとはなかった。基金訓練の講師のほうが実務経験もあり、しっかり した内容でやっていた。基金訓練の問題は、「この認定資格を持っていれば医療機関への就職に有利です」というハローワークの担当者の安易な勧め方にもあ る。(都道府県不明・女性)
■訓練実施校から
○ 初めての基金訓練ということで、きちんとした講座を実施すべく準備を進めていた。しかし、訓練生を募集をしている時に、ハローワークが明らかに、私どもの訓練校を排除しようとしていたことがあった。ハローワークの対応には酷いものがある。(千葉県・男性30代)
紙面の都合で一部の掲載となったが、これらいただいた情報の中には、さらに取材を進めていかなければならないものもある。
雇用保険を受給できない訓練生に対して、出席率を下げてまでも受給させようとする講師や訓練実施校の配慮は理解できるが、職業訓練である。ある程度の厳しさはつきものであることを、訓練生にも自覚してほしいところである。
国から支給される基金訓練に関する奨励金狙いの実施訓練校があることは予想できたが、ハローワークの訓練生への安易な受講の勧め方と訓練実施校への酷い対応は気になるところである。今後も取材を続けていきたい。
そこで、引き続き全国各地の状況を把握すべく、「緊急人材育成・就職支援基金による職業訓練(基金訓練)」に関する情報を募集いたします。お寄せいただく情報は、もちろん匿名で構いませんが、以下の項目に従って、メールでお願いいたします。
メールのタイトル:「基金訓練」に関する情報提供
メールの本文:都道府県名【】
性別:【】
年代:【】
受講生または講師の別:【】
内容:
送付先メールアドレス:cybernory@gmail.com
【了】
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 大谷 憲史
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