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ナイジェリア:MSFがザムファラ州の鉛中毒危機について経過報告 ――時間切れの警鐘鳴らし、大統領にバゲガ村救済を要請

治療のため1歳5カ月の息子を診療所に連れてきた女性。鉛を含んだ鉱石の粉砕作業を自宅で行っていたため、子供たちが中毒になった。



国境なき医師団(MSF)日本



 国境なき医師団(MSF)は、ナイジェリア・ザムファラ州における鉛中毒危機について、状況の経過報告を発表し、問題の解決が手遅れになると警鐘を鳴らしている。この問題の解決策については、半年前に国際会議が開かれたが、MSFは、そこで合意された行動項目のごく一部しか履行されていないと指摘している。


 金の産地であるザムファラ州では、鉱石を粉砕して金を抽出している。その粉塵には多量の鉛が含まれており、人びとの健康がむしばまれる鉛中毒の原因となっている。特に、幼い子どもたちは重症になりやすく、死に至る場合もある。また、成人も長期にわたる健康上の問題を抱える恐れがある。MSFは被害が確認された2010年以来、子どもたちと授乳期の母親の治療にあたっている。


環境浄化を急げ

 この問題に対する予算は、州内のバゲガ村の環境浄化に重点が置かれ、今年5月に同国大統領がこの予算を確約しているものの、いまも連邦官房長官の認可が下りていない。環境浄化は、住環境から鉛を除去する作業であり、それが行われなければ、子どもたちは今後も毒素にさらされ、治療も無意味になる。

 MSFのロジスティシャン*であるマイケル・ホワイトは「バゲガは危機的状況にあります。鉛中毒被害が明らかになってから2年半余りが経ちましたが、依然としてたくさんの子どもたちが、治療を待っています。MSFは治療を行う態勢も意欲もありますが、住環境の浄化が行われない限り、治療はできません。まずはバゲガの鉛を除去しなければならないのです」と訴える。
*物資調達、施設・機材・車両管理など幅広い業務を担当する派遣者

 環境浄化は、直近の雨季の直後、2012年10月末に開始される予定だった。もし11月中に資金投入が認可されず、年内に環境浄化が開始されなければ、また次の雨季がやってきてしまい、MSFがバゲガの中毒被害者を治療する機会も著しく減少し、地域社会に甚大な被害が及ぶ恐れがある。


ナイジェリア人主導の行動を

 MSFは2010年から、ザムファラ州の鉛中毒被害者を継続的に治療しており、問題の解決には、専門家による村の環境浄化、最も健康リスクの高い被害者の治療、より安全な鉱業の実践という3本柱のアプローチが必要だと主張している。MSFは、2010年に州内7つの村で中心となって環境浄化を成功させ、国際的にも認知されている除染企業「テラ・グラフィックス」と密接に連携している。

 テラ・グラフィックス社、MSF、地元関係者は、資金投入の認可が下り次第、いずれも活動を開始する構えだ。テラ・グラフィックス社、MSFはともに、ナイジェリア行政当局や省庁との協力の下、有効性、信頼性、透明性が確かで、バゲガの人びとに最良の結果がもたらされる体制の確立を図っている。こうした協力体制は、ナイジェリア側に責任の履行と、国際的に認められている基準・実践方法の順守を徹底させ、その経過と結果の双方において、ナイジェリア人の参画と主導を促すものだ。

 MSFとテラ・グラフィックス社は、この問題に全力で取り組んできた。しかし、最終責任はナイジェリアの人びとと政府にある。政府の迅速な行動以外に、状況改善の手立てはない。


2012年5月、MSFはナイジェリア疾病管理センターとナイジェリア連邦共和国保健省とともに、鉛中毒危機の解決を話し合う国際会議を開催。当初の行動計画書と、その後半年間の経過報告書(英文)はこちら:
http://msf.org/lead-poisoning-conf-actionplan2012
http://msf.org/timeisrunningout

ザムファラ州の鉛中毒問題に関するMSFの解説はこちら:
http://www.msf.or.jp/news/2012/05/5542.php
http://www.msf.or.jp/news/2011/05/5212.php




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