写真:北部シリアにMSFが設置した仮設病院。郊外の空き家を利用した
国境なき医師団(MSF)日本
国境なき医師団(MSF)は、シリアの紛争被害者への医療援助活動を拡大している。負傷者には救急処置と外科治療を提供し、国内避難民および、隣国に逃れた難民に対する医療活動も展開している。 シリア国内ではMSFの複数のチームが、紛争に巻き込まれた人びとの対応に努めているが、紛争被害を受けている地域では、規制や情勢不安により、医療活動の拡大と全体的な人道・医療ニーズの把握がなかなか進まない。 ________________________________________ シリア国内で負傷者を治療 この4ヵ月間、MSFは、反体制派武装グループの支配地域であるシリア北部4ヵ所に病院を開設した。これらの病院では外科治療などの緊急医療を提供している。 2012年6月末以降、MSFは2500人以上の患者を治療し、約550件の外科手術を行った。その多くが、銃創、破片創、開放骨折、爆発が原因の負傷など、武力衝突に起因するけがの治療であり、患者には女性、子ども、反体制グループの戦闘員、政府軍の兵士も含まれている。紛争が続く中、人びとが医療施設に足を運べるかどうかによって、病院も活動の形を変えて対応してきた。 シリアにおける医療ニーズの増加と、医療物資の不足を受け、MSFはホムス、イドリブ、ハマー、ダルアー各県の野外病院や診療所、ダマスカスのシリア赤新月社にトン単位の医療・救援物資を寄贈している。 ヨルダンでシリアの紛争被害者を治療 MSFは、ヨルダンの首都アンマンにおける外科治療プログラムで、シリアから来た紛争被害者の治療も行っている。このプログラムは元来、イラク戦争の被害者を治療する目的で2006年に立ち上げられた。 MSFが活動する外科病院が、この4ヵ月間に受け入れた新規患者の約45%はシリア人だった。2011年6月から2012年9月には289人のシリア人患者を受け入れ、その半数が外科治療を受けた。治療対象の患者には、心理カウンセリングと無償の宿泊場所も提供されている。また、MSFは、外科治療の必要なけがを負った難民の有無を把握するため、シリア人3万人が滞在するザータリ難民キャンプにも赴いている。 シリア周辺国における難民への医療援助 レバノンに入国したシリア人難民は、大多数が北部の都市トリポリに滞在している。MSFはトリポリのほか、シリアを逃れた人びとがレバノンに入る際の主要な国境通過地点、ベッカー高原で医療援助を提供。これまでに、1万1600件以上の診療と、1700件の個別心理コンサルテーションを行っている。 また、1万5000人以上が滞在するイラク北部のドミーズ難民キャンプでは、MSFが主要な医療提供機関となっている。2012年5月以降、MSFの医療チームは2万500件以上の診療を行った。トルコのシリア国境キリス県と、主要都市イスタンブールでも、MSFは紛争を逃れてきた民間人を対象に心理ケアを提供している。 MSFは引き続き、全ての紛争被害者を対象とした援助に従事し、シリアおよび周辺国における活動を拡大していく予定。
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