開設当初のホースト産科病院の室内(提供:国境なき医師団(MSF)日本)
国境なき医師団(MSF)が、ホースト州の産科病院における医療活動を再開する。同病院での活動は、2012年4月、敷地内で起こった爆発事件を受けて、中断されていた。
アフガニスタンにおいて、MSFは首都カブール東部のアーメッド・シャー・ババ病院とヘルマンド州ラシュカルガのブースト病院で活動するほか、北部のクンドゥーズ州で運営する外傷治療センターで救命外科医療を提供している。
いずれの地域でも無償で診療を行い、地域の病院を支援している。アフガニスタンにおけるMSFの活動は、すべて民間からの寄付によるものであり、いずれの国の政府からも資金提供は受けていない。
◇地域からの支持、安全確保にもめど
今回の医療活動再開は、8月27日に行われたMSFスタッフと、同国東部のホースト州各郡代表、著名な宗教家、学者ら、MSFの産科医療の提供を強く支持していた地域の有力者による「ジルガ(パシュトゥー語で“会議”の意味)」を経て決定された。
MSFのアフガニスタンにおける活動責任者であるブノワ・ドゥ・グリーズは、病院再開の理由について「地域の方々から多くの支持の声が寄せられたことと、病院の患者・医療スタッフの安全確保が見込めるようになったからです」と話す。
4月に産科病院の敷地内で起こった爆発は病院開設後6週間の時点で発生し、7人が負傷した。この施設では事件前までに、600人を超える女性が分娩介助を受けていた。
グリーズは「情勢が変わり、ホースト駐在中のチームによる、無償で質の高い医療の提供再開が可能になりました。特に、診療費の払えない人や周産期合併症にかかっている人を対象とします」と話す。
病院再開は2012年末までに限定される予定。
再開の準備として、必要な物資の調達・輸送を行う。また、外国人スタッフとともに活動する助産師や看護師などをアフガン人の女性限定で雇用し、医療スタッフチームを編成する。アフガニスタンでは男性医療者は女性を診療できないため、女性だけで構成されるチームは、ホースト病院における質の高い医療再開に不可欠だ。
地域社会から支持され、患者・保健医療施設・医療スタッフの安全が尊重されることが、アフガニスタン国内のホースト州以外の3ヵ所および、その他70を超える国々においても、MSFの活動を可能にしている。
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