【PJニュース 2011年1月5日】
1月4日、都城市の老舗デパート、都城大丸(大浦克博社長)は、1月3日に宮崎地裁に民事再生法の適用を申請し、財産の保全命令を受 けたことを発表した。負債総額は、約48億円。長年、都城市を中心とした西諸県地域だけではなく、隣接する鹿児島県大隅地域も商圏としてきただけに、新年 早々衝撃が走った。
都城大丸は、地元資本である大浦株式会社が経営しており、大丸松坂屋百貨店(本社:東京都江東区)とは、資本関係など一切なく関係はない。1929(昭和4)年創業。資本金は1億8千万円で、年商54億円。社員約240人。
宮崎市内で記者会見した大浦克博社長は「口蹄疫で相当な影響があり、高齢者などの客足が減った」と述べた。しかし、それ以外にも破綻する要因はあった。県外資本との競合である。現在、都城市には、なぜかイオングループのショッピングセンターが、2店舗もある。
都城市は西諸県地域だけではなく、えびの市や小林市、さらに、隣接する鹿児島県大隅地域(曽於市・志布志市)も商圏と捉え、宮崎市を中心とした商圏よりも多くの消費者を取り込めるという地理的メリットがある。
そ うした商圏を見込んで、2003(平成15)年、都城市南部に、ジャスコ都城店を核とする「イオン都城ショッピングセンター」(イオン九州株式会社)が オープンした。さらに2008(平成20)年には、これまでJR都城駅前にあったダイエーを再生させる形で、「イオンモールミエル都城駅前」(イオンモー ル株式会社)がオープンした。
当時、イオン側は、「商圏が拡大するのですみ分けが可能であり、地区全体で相乗効果もある」としていたが、この2つの大型ショッピングセンターが都城市の北と南にできたことで、消費者が郊外へ流れ、中心市街地の客足は大きく減少した。
都 城市との連携で中心市街地活性化へ努めてきた都城大丸は、2004(平成16)年3月に、新しい店舗「センターモール」をオープンさせた。同時に周辺の中 心市街地でも商業開発が行われ、客足が戻りつつあった。しかし、2つのイオン系のショッピングセンターの影響を受け、2010(平成22)年9月20日、 センターモールが営業を終了した。そして、この1月3日に宮崎地裁に民事再生法の適用を申請することとなった。
このことは、都城市だけ の問題ではない。宮崎市でも、「イオンショッピングセンター宮崎(現・イオンモール宮崎、イオンモール株式会社)」の進出をめぐり、大きな問題となったこ とがある。オープンして5年7か月が経った今、徐々に中心市街地には客足が戻りつつあるが、老舗の呉服店が店をたたむなどしている。宮崎では、昨年、口蹄 疫の影響もあり、経済が落ち込んだが、地元資本はいくら力を合わせても、県外資本の進出に対抗できないということだろうか。
都城大丸の代理人によると、1月15日に従業員約240人を解雇し、今年4月までに支援企業を探して経営再建を目指す方針とのことである。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 大谷 憲史
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